ZEH は、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、読み方は「ゼッチ」とされている。
まず、Zero Energy House(ゼロ・エネルギー・ハウス)は、年間のエネルギー収支(使用量)がプラスマイナスゼロの家という意味。
とはいえ、実際に生活していれば冷暖房や照明などにエネルギーを使う。そのため、まず使用するエネルギーを減らす。そして、それでも必要な電気は太陽光発電などで作る。
そのため、エネルギー使用量が「完全にゼロ」ということではなく、「実質的にゼロ」という意味で、アタマに Net(ネット)という単語が付いている。
この Net は、ネットワークやインターネットという意味のネットではなく、「正味の」という意味。いろいろな分野で、「ネットでいくら」「グロスでいくら」というときの「ネット」だ。ちなみに「グロス(gross)」は「総量で」という意味。
ZEH は現在、国が進める政策目標になっている。2030年には新築住宅の平均で ZEH が実現していることを目指していて、その先には 2050年のカーボンニュートラル(CO2=二酸化炭素の排出が実質ゼロ)という目標がある。
そのため、ZEH には具体的な基準が設けられていて、以下の 3項目でそれぞれ基準を満たした住宅には補助金が出る(2021年現在)。
●断熱性:壁にしっかり断熱材を入れたり、窓を 2重サッシにすることで、冷暖房の効率をよくする。
●省エネ:空調(冷暖房)、照明、給湯、換気のための機器を省エネ性能が高い機種にする。
●創エネ:太陽光などの再生可能エネルギーで電気を作る。また、その電気を蓄電池に貯めて夜間や災害時に使う。
断熱性と省エネ性能を高めることで、従来の家よりエネルギー消費を減らすことができる。そして、それでも必要なエネルギーは自宅で作ることで実質的にゼロを実現した家が ZEH だ。
ZEH を実現すれば、快適なうえに光熱費を抑えることができる。しかし、従来の家より建設費が高くなる。また、基本的に空調、照明、給湯、換気のエネルギーが対象で、それ以外の電気代は考慮していない。
なお、オフィスビルや商業施設などは ZEB(ゼブ)という名称で同様の政策が打ち出されている。
最終更新:2021年4月
執筆:下島 朗