ZEB は、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略で、読み方は「ゼブ」。
まず、Zero Energy Building(ゼロ・エネルギー・ビル)は、年間のエネルギー収支(使用量)がプラスマイナスゼロの建物という意味。
とはいえ、実際には冷暖房や照明などでエネルギーを使う。そのため、まず使用するエネルギーをできるだけ抑える。そのうえで、必要な分は太陽光発電などで電気を作って使う。
そのため、エネルギー使用量が「完全にゼロ」ということではなく、「実質的にゼロ」という意味で、アタマに Net(ネット)という単語が付いている。
この Net は、ネットワークやインターネットという意味のネットではなく、「正味の」という意味。いろいろな分野で、「ネットでいくら」「グロスでいくら」というときの「ネット」だ。ちなみに「グロス(gross)」は「総量で」という意味。
ZEB は現在、国が進める政策目標になっていて、補助金制度もある(2021年現在)。ZEB の実現には、以下のような要素が求められている。
1. 窓の遮光性を高めたり、自然換気を取り入れたりして使用するエネルギーが少ない建物にする。
2. 効率が良くて省エネ型の空調(エアコン)や照明などを使ってエネルギーの消費量を減らす。
3. 再生可能エネルギーによる発電設備(太陽光やバイオマスなど)で電気を作って必要なエネルギーをまかなう。
まず、建物や設備の省エネ性能を高めることで、従来のビルよりエネルギー消費を減らすことができる。そして、それでも必要なエネルギーは自ら作って「実質的にゼロ」を実現した建物が ZEB だ。
ただし、いきなり ZEB(実質ゼロ)は難しい。そのため、少し基準を緩めた Nearly ZEB(ニアリー・ゼブ)や、まずは省エネ性能だけを満たした ZEB Ready(ゼブ・レディ)といったものも定義されている。
なお、個人住宅でも ZEH(ゼッチ)という名称で同様の政策が打ち出されている。
最終更新:2021年4月
執筆:下島 朗