Windows（ウィンドウズ）とは、マイクロソフトが開発し、提供（販売）している基本ソフト（OS）の名称。世界中のパソコンで使われていて、そのシェア（市場占有率）は 9割以上といわれている。そして、基本ソフトとして Windows を使っているパソコンを、一般に Windows PC（ウィンドウズ・パソコン）という。
初期の Windows の開発が始まったのは 1980年代で、一般ユーザーに広がったのは 1990年代だった。そして現在も、パソコン用の OS として事実上の標準（デファクトスタンダード）になっている。
Windows には、パソコン用のほかにも Windows CE や Windows Mobile（ウィンドウズ・モバイル）といったモバイル機器用、Windows Server（ウィンドウズサーバー）と呼ばれるサーバー用、Windows Embedded（ウィンドウズ・エンベデッド）などの組み込み用といった種類がある。
また、幅広く普及しているため、Windows という単語が含まれる製品や機能も多い。たとえば、Windows 自体を更新する Windows Update（ウィンドウズ・アップデート）、Windows に内包されたセキュリティ機能である Windows Defender（ウィンドウズ・ディフェンダー）、生体認証機能を提供する Windows Hello（ウィンドウズ・ハロー）などは、よく見聞きする。
Windows が普及する前は、DOS という基本ソフトが主流で、この時代は真っ暗な画面にコマンドと呼ばれる命令語をキーボードから入力してパソコンを操作していた。しかし Windows が普及して、アイコンやメニューをマウスで操作する方式が一般化した。このような操作方法を GUI（グラフィカル・ユーザー・インターフェース）という。
ただし、GUI による操作体系は Windows より前に、アップルの Macintosh（Mac OS）が実現していた。
かつてパソコン用の Windows は、Windows 95 → 98 → 98 SE → Me と進化してきた主に個人向けのグループと、Windows NT → 2000 と進化した主に企業向けのグループに分かれていた。
その後、Windows Me と Windows 2000 の良いところを引き継いだ Windows XP に統合された。そして、その XP の中で、家庭向けのホームエディションと企業向けのプロフェッショナルに分けられた。
その後、パソコン向けの Windows は、Vista（ビスタ）→ 7 → 8 → 8.1 → 10 と進化して、それぞれのバージョンの中に個人向けや企業向けのエディションが用意されるようになった。
また、これとは別に、サーバー用の基本ソフトとして、Windows Server 2003 → 2008 → 2012 → 2016 → 2019 といった流れが生まれている。かつて Windows はパソコン用の OS と認識されていたものの、今ではサーバー市場でもトップシェアを取っている（集計方法にもよる）。
これまで提供されてきた、主なパソコン用 Windows は以下のとおり。ただし、それぞれのバージョンの中に OSR や SP（サービスパック）と呼ばれる小さなバージョンアップ版が存在する。
● Windows 3.0/3.1
3.0 は最初に普及した英語版の Windows。3.1は、その日本語版。ただし当時は、それ以前から使われてきた DOS に GUI を被せた状態で、長いファイル名を使えないなど DOS が持つ機能制限があった。
● Windows 95
1995年に発売されて世界的にヒットしたバージョンで、実質的に現在の Windows の元祖。Windows 3.0/3.1 のベースにあった DOS の機能を取り込み、ほぼ完全な GUI を実現。画面の下にタスクバーがあって、その左端に「スタート」ボタンがあるデザインは、このとき登場した。
● Windows 98
Windows 95に続く進化版。当時は今より技術革新のスピードが速く、新しい機能に対応させるため頻繁にバージョンアップが行われていた。
● Windows 98 SE
SE は Second Edition（セカンド・エディション）の略で、 Windows 98 の改良版。
● Windows Me
Me は Millennium Edition（ミレニアム・エディション）の略で、2000年に登場した最後の個人向け Windows 。このあと、企業向けとして提供されてきた Windows NT 系列の製品と統合された。
● Windows NT
企業向けの Windows として提供されてきたシリーズで、最終バージョンは 4.0 。基本ソフトの中核であるカーネルが個人向けのラインナップとは異なり、安定性が高かったものの操作が面倒な部分もあった。
● Windows 2000
企業向けの Windows NT を進化させたバージョンで、2000年10月に発売された。
● Windows XP
個人向けだった Windows Me と、企業向けだった Windows 2000 を統合した最初のバージョン。2001年の秋に登場した。XPは「体験」といった意味の Experience（エクスペリエンス）の略。安定性が高く、ロングセラーとなった。
● Windows Vista
2007年1月に発売された、Windows XP の後継版。あまり人気がなかった。
● Windows 7
2009年10月に発売された、Windows Vista の後継版。安定性が高く、人気バージョンとなった。
● Windows 8
Windows 7 の後継版として 2012年10月に発売された。このころ、画面に触れて操作するタッチパネル式のパソコンやタブレットの登場が相次ぎ、8 はタッチ操作に対応した最初の Windows だった。しかし従来の Windows との整合性が低く評判が悪かった。
● Windows 8.1
Windows 8 の不評を受けて、翌年にリリースされた 8 の改良版。「スタート」ボタンを復活させたりしたものの、全般的にみて人気を取り戻すには至らなかった。
● Windows RT
Windows 8/8.1 と並行して、一般的なパソコンより簡易的なモバイル機器向けとして Windows RT が提供された。一見すると 8/8.1 に似ているものの、ストアアプリと呼ばれるモバイル機器向けアプリしか使えないなど制約が多く、一代限りで消えた。
● Windows 10
2015年7月に提供が開始された、Windows 8.1 の後継版。Windows 9 はなかった。Windows 10 から、製品名が変わるような大規模なバージョンアップはなくなり、およそ半年ごとに大きなバージョンアップが、その間に必要に応じて小さなバージョンアップが繰り返されている。
初稿公開：1997年5月
最終更新：2019年10月
執筆：下島 朗
