WiMAX(ワイマックス)は、Worldwide interoperability for Microwave Access の略で、電波を使って高速かつ広域なデータ通信を行なう技術。あるいは、その通信サービス。
簡単にいうと、スマホやパソコンをインターネットにつなぐ方法のひとつ。たとえば、インターネット接続には以下のような方法がある。
光回線(有線)→ルーターやハブ→(有線)→パソコン
光回線(有線)→Wi-Fiルーター→(無線)→スマホやパソコン
携帯電話回線(無線)→スマホ
携帯電話回線(無線)→ポケットWi-Fi→(無線)→スマホやタブレット
これらの方法とは別に、WiMAX の電波を使って接続する方法があると思えばいい。具体的には、
WiMAX の電波(無線)→WiMAXのルーター→(無線)→スマホやパソコン
という流れになる。
WiMAX の契約をすると専用のルーター(端末)が提供される。そして、WiMAX の基地局とルーターが電波でつながって、ルーターとスマホの間は Wi-Fi(無線LAN)でつながる。
基地局は、街中などに設置された、アンテナと通信機能を兼ね備えた設備。携帯電話の場合も、さまざまな大きさの携帯電話用の基地局が無数に設置されている。
つまり、電波の種類が携帯電話か WiMAX かという違いだけで、サービス形態としてはポケットWi-Fi に似ている。
さて、一般に WiMAX と呼ばれる技術には複数の規格がある。そして、当初の WiMAX の定義と、現在日本で提供されている WiMAXサービスの内容にズレがある(といっても、悪い意味ではない)。
最初の規格は IEEE802.16 というもので、2001年12月に承認された。2003年1月には追加仕様と修正を含めた IEEE802.16a が承認されて、2004年6月には IEEE802.16-2004 へと引き継がれている。
これらの規格では、基地局から最長約50キロメートルまで通信可能で、通信速度は最大で 40~75Mbps くらい。ADSL や光ケーブルなどの固定回線の代わりとして使うために開発されたもので、たとえばアメリカのように土地が広い地域で家庭やオフィスをインターネットに接続することが想定されていた。
2005年には、 IEEE802.16e という規格がつくられた。これは移動通信サービスに向けたもので、一般にモバイルWiMAX と呼ばれている。通信できる距離は基地局から 1~3キロ、通信速度は最大21Mbps だった。
その後継の IEEE802.16h でハンドオーバーに対応し、車や電車で移動中も通信できるようになった。ハンドオーバーは、通信を切らすことなく接続中の基地局から隣の基地局へ受け渡すこと。あるいは、その技術。
2010年代になると、より新しくて高速になった WiMAX 2 や WiMAX 2.1 と呼ばれる規格が登場。そして、これらの規格に対応したサービスが、2013年10月、UQコミュニケーションズによって WiMAX 2+(ワイマックス・ツープラス)という名称で開始された。
2020年5月現在、UQコミュニケーションズの WiMAXサービスを、単に UQ WiMAX(ユーキューワイマックス)ということが多い。しかし、これは上記の WiMAX 2+ と同じもの。
つまり、当初の WiMAX は光回線などの代わりとして使うために開発された技術だった。しかし今、日本で WiMAX というと実質的に UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXサービス(UQ WiMAX)を指す。
ほかにも数社、モバイルWiMAX のサービスを提供している会社があるけど、これらはすべて UQコミュニケーションズから設備を借りている MVNO(仮想移動体通信事業者)。そのため、どの会社と契約しても実際は UQ WiMAX を使うかたちになる。
初稿公開:2005年9月
最終更新:2020年5月
執筆:下島 朗