SIMロックの SIM(シム)は、携帯電話機やスマートフォンに入っている SIMカードのこと。SIMカードは小さな ICカードで、電話番号やユーザーを特定するための ID番号などが記録されている。
そして本来は、メーカーや携帯電話会社(キャリア)が違う電話機でも、SIMカードを差し替えれば同じ電話番号のまま同じ契約内容で使える、ということになっている。ところが実際は、ほとんどできなかった。
日本では、端末(携帯電話機やスマートフォン)の価格を安く抑えて、その分を毎月の通話料などで埋め合わせる販売方法が多く採用されてきた。あるいは、端末を分割払いにして、その分をサポートなどの名目で割り引くといった契約が続けられててきた。
そのため、携帯電話会社としては、購入後すぐに他社に乗り換えられると困るという事情があった。
そこで、大手携帯電話会社は、自社で売った端末は自社の SIMカードしか認識できないように制限をかけてきた。これを、SIMロックという。この場合のロックは lock で、「鍵をかける」という意味だけど、この単語には「独占」という意味もある。
しかし海外には、こうした制限がない国もあり、日本でも 2010年4月に基本的に SIMロックを外すことが総務省と携帯電話会社の間で合意されている。このように SIMロックを外すことを SIMロック解除といって、SIMロックされていない状態を SIMロックフリーまたは SIMフリーという。
ただし実際には、いろいろな理由で制約が継続されてきた。そして今は、購入してから 100日以上経つと SIMロックを解除できる(2020年6月現在)。大手携帯電話会社から格安SIM に乗り換える際は、この SIMロック解除が必要だ。ただし、状況によっては解除が不要なこともある。
SIMロックを解除するには、基本的には契約中の携帯電話会社で手続きをする。契約状況によって手続きの内容が変わるので、まずは携帯電話会社のサイト(ホームページ)で確認するといい。
なお、SIMカードのサイズ、あるいは通信方式や使用している周波数の違いのため、SIMロックフリーの電話機ならどれでも SIMカードを差し換えて使えるというわけではない。
初稿公開:2011年6月
最終更新:2020年6月
執筆:下島 朗