NAS(ナス)は、Network Attached Storage(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)の略で、LAN(コンピューターネットワーク)に直接つないで使うタイプの記憶装置。
従来は、複数の HDD(ハードディスク)を内蔵した NAS が多かった。今は、HDD の代わりに SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を使った NAS も増えている。
NAS のことを、ネットワークHDD とかネットワークストレージと呼ぶこともある。ストレージ(storage)は「倉庫」という意味で、コンピューターの世界では「情報を蓄えておく倉庫」といった感じ。
LAN でつながった複数のパソコンから同じ記憶装置(HDD)にデータを保存したり共有したいといったとき、従来はファイルサーバーと呼ばれるコンピューターを設置するのが一般的だった。特に企業では、こうした方法が広く使われている。
NAS は、大きめの外付けHDD のようにも見える。しかし、その中に簡易的なファイルサーバーの機能が入っていて、他のコンピューターと通信したりデータを管理する機能を持っている。
そのため、LAN に接続すると簡単にデータを共有できるようになる。無線LAN(Wi-Fi)にも対応するし、スマホのデータを保存することもできる。機種によってはプリンターをつないで、そのプリンターを共有することも可能だ。
従来、NAS は企業向けの製品で値段が高かった。しかし今は、低価格な製品もあって、小規模オフィスはもちろん自宅にある数台のパソコンでデータ共有するといった用途にも使うことができる。さらに、録画したテレビ番組を共有できる NAS も登場している。
逆に企業向けだと、データを自動的に 2重保存したり、HDD や SSD の差替え(交換)に対応したり、ユーザーのアクセス権を管理できるといったファイルサーバーに近い機能を持った製品もある。
個々のパソコンの中にある大事なデータを NAS にも保存(バックアップ)しておけば、パソコンが故障したときデータを失わずに済む。
しかし普通は、パソコンも NAS も同じオフィスや家の中に置かれていると思う。この場合、大きな災害があると両方ともダメになる可能性がある。そのため、データのバックアップが目的ならオンライン型のストレージサービスの方が信頼性が高い。
初稿公開:2002年5月
最終更新:2021年2月
執筆:下島 朗