IaaS は、Infrastructure as s Service(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の略で、クラウドサービスの形態を表す言葉のひとつ。一般に、「イアース」または「アイアース」と読むことが多い。
この言葉を理解するために、まずパソコンを例に考えてみよう。パソコンというハードウェアがあって、その中に基本ソフト(OS)が入っている。ほとんどの場合、Windows(ウィンドウズ)だ。そして、その上で Windows版のアプリケーションソフト(アプリ)を起動して使う。
この、ハードウェア、基本ソフト、アプリという 3段構成がコンピューターの基本で、業務用のコンピューターも多少複雑にはなるけど、同じような構成になっている。
まず、ハードウェアとして、サーバーやストレージ(業務用の大容量記憶装置)、通信機器や通信回線などがある。
基本ソフトとしては、今は主に Windows Server(ウィンドウズ・サーバー)や Linux(リナックス)が使われている。これらの基本ソフトに、ミドルウェアやデータベースを加えたものをプラットフォームという。
そして、プラットフォームの上で、目的別の業務用アプリケーションソフトを動かす。業務用アプリは、既存のものを使うこともあるけど、多くの場合、それぞれの会社や業務にあわせて開発したりカスタマイズ(仕様変更)されている。
しかし最近は、インターネット上のサーバーに用意されたアプリを必要な期間だけ借りて使うケースが増えている。これを、SaaS(サース)という。ただし、あらかじめ用意されたアプリを使うので、業務内容に合わせてカスタマイズするのは難しい。
そこで、ハードウェアと基本ソフト(プラットフォーム)がセットされた状態で借りて、アプリケーションソフトは独自に開発して使うという方法がある。これは、PaaS(パース)と呼ばれている。
さらに、プラットフォーム(基本ソフトやデータベース)も自分たちの希望に合ったものを選びたいというニーズもある。これに応えるのが、IaaS と呼ばれるサービスだ。
つまり IaaS とは、業務用ソフトを開発したり運用(利用)するにあたって、インターネット上のどこか(実際はデータセンターの中)にあるハードウェア(インフラストラクチャー)だけを借りて使う方式のこと。
初稿公開:2009年9月
最終更新:2021年7月
執筆:下島 朗