ASP(エイエスピー)は、Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダー)の略で、クラウドサービスの形態を表す言葉のひとつ。
ASP は、インターネットを通じて、業務用のソフトウェアを一定期間貸し出すサービス。あるいは、そうしたサービスを行っている会社のこと。借りる側からすると、業務ソフトを月単位などで使い、その分だけ料金を払うしくみ。
従来のパソコンソフトは、必要なものを必要な数だけ買っていた。そして自分でインストールして、バージョンアップや不具合があったら自分で対処する。また、インストールしてみたものの、ほとんど使わないといった場合も返品できない。
今は、サブスクリプション(サブスク)方式で必要な人数分だけ契約して必要な期間だけ使うこともできる。また、必ずしも手元のパソコンにインストールしなくても、ブラウザーなどで利用できるソフトもある。
企業が業務用のソフトを使うときも、基本的には同じだ。従来は、サーバーなどのコンピューターと一緒に必要なソフトウェアを購入あるいは開発して、自社で管理・運営していくのが普通だった。
しかし、これだと導入コストや管理の手間がかかって使用者(ユーザー企業)の負担が大きい。そのため、IT企業が用意した業務用アプリケーションソフトをインターネットを通じて使うサービスが広まってきた。これを、APS という。
例えていうと、従来方式が自社ビルなのに対して、APS は雑居ビルに入居するようなイメージ。建物の管理はビルの所有者がやってくれるし、手狭になったら複数のフロアを借りたり別のビルに移ればいい。ASP なら、必要な期間だけ借りることが可能だ。
なお今は、ASP とほぼ同じサービスを SaaS(サース)と呼ぶことが多い。これは、Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の略で、意訳すると「ソフトウェアをサービスとして提供する、使用する」といった感じ。
当初は、「SaaS の方が後から出てきたので、ASP より進化している、特にカスタマイズ性が向上している、だから別モノ」と説明されていた。
しかし最近では、インターネット経由でソフトウェアを貸し出すこと、あるいはそうしたサービスを行っている事業者を ASP といって、貸し出されるソフトウェアやサービスを SaaS という感じになっている。
初稿公開:1999年11月
最終更新:2021年7月
執筆:下島 朗