脱炭素(だつたんそ)とは、二酸化炭素(CO2)の排出量を実質的にゼロにすること。これを達成した社会を「脱炭素社会」といって、世界の主要国が 2050年ころの実現を目指している。
二酸化炭素が注目される(やり玉に挙げられる)のは、温室効果ガスとして影響が大きいから。温室効果ガスは、大気中の濃度が高くなると気温を上げる性質をもった気体の総称で、地球温暖化の原因といわれている。
二酸化炭素のほか、メタンや一酸化二窒素、フロンガスなども温室効果ガスとされている。この中で最も量が多くて地球温暖化への影響が大きいのが二酸化炭素(CO2)。そのため現在、温室効果ガスの削減というと、二酸化炭素の排出量を減らす取り組みを指すことが多い。
二酸化炭素は、19世紀の産業革命以降、排出量が大幅に増えている。そのため、何とか二酸化炭素の排出量を減らして、気温の上昇を抑えようとする取り組みが世界規模で実施されている。
たとえば、火力発電所を減らして再生可能エネルギーを増やす活動もそうだし、エンジンだけで走る車の発売を止めて電動車に切り替えるのもそう。
一般的な製品も、原材料の調達から使用後の廃棄まで含めて環境への影響を考えようという意識が広まっている。そのための手法を LCA(ライフサイクルアセスメント)という。
とはいえ、人間が活動すると、どうしても二酸化炭素が出てしまう。なので、その分は二酸化炭素を減らす活動をしてプラスマイナスゼロにしましょう、といういう風に考えられている。
たとえば、木を植えて森を増やす。再生可能エネルギーの比率を上げる。二酸化炭素の排出削減が遅れている国を支援する。こういった活動をすれば、その分、二酸化炭素の排出を減らしたことにしましょう、という考え方が広まっている。
こうした活動や考え方を、最近はカーボンニュートラルということが多い。そして、このカーボンニュートラルと脱炭素が、ほぼ同じ意味になっている。
ただし、本来のカーボンニュートラルは、「植物を燃して二酸化炭素を出していも、植物は成長段階で二酸化炭素を減らしているからプラスマイナスゼロ。だから問題ないよね」という考え方を表す言葉だった。たとえば、バイオマス発電はこの考え方に基づいて再生可能エネルギーの一種とされている。
最終更新:2021年1月
執筆:下島 朗