第6世代移動通信システムとは、2030年ころに実用化が見込まれている携帯電話などの通信サービスを指す言葉。第6世代を英語で 6th Generation といって、これを略して 6G(シックスジー)という。
移動通信システムは、移動しながら使える通信サービスの総称。
現在のような携帯電話(スマートフォン)だけでなく、携帯電話の元になった自動車電話、一時期人気があった PHS、モバイルWiMAX(ワイマックス)、IoT(モノのインターネット)と呼ばれる機器同士の通信も含まれる。
移動通信システム(主に携帯電話サービス)は、おおむね 10年ごとに新しい世代へと移行してきた。
1980年代の第1世代移動通信システム(1G)は自動車電話と初期の携帯電話の時代で、アナログ方式で音声通話が提供されていた。
次に、1993年にデジタル方式の携帯電話サービスが登場して、ここから第2世代移動通信システム(2G)が始まった。そして、メールなどのデータ通信が可能になってきた。
2001年には、IMT-2000 という規格に対応した携帯電話サービスが始まり、第3世代移動通信システム(3G)がスタート。第3世代では、データ通信が実用的な速度になって、画像や音楽の送受信、Webサイトの表示などに十分対応できるようになった。
その後、第3.5世代とか第3.9世代といわれる時期を経て、2010年代の半ばから第4世代移動通信システム(4G)がスタートした。
第4世代は、データ通信の速度が有線のインターネット並みに高速化して、映像などの大容量コンテンツもスムーズに配信できるようになった。
そして 2020年3月、第5世代移動通信システム(5G)の通信サービスが始まった。第5世代では最終的に、通信速度が最大 10Gbps まで高速化する見込み。また、通信網全体で扱える情報量が大幅に増えて、通信の遅延も少なくなる。
これに続く第6世代移動通信システムでは、通信速度が最大 100Gbps まで高速化するといわれている。しかし、第5世代と同様、重要なのはデータ通信の高速化だけではない。
第6世代が実用化するころには、身の回りにある機器が自律的に通信を行っていて、それらがもたらす情報に包まれて、あるいは常にサポートを受けながら生活するような感じになると思う。
スマホを取り出してアプリを起動し、情報を得たり誰かに連絡するというのではなく、必要な情報が先回りして目の前に現れたり、特に意識しなくても人とつながっているような世界が実現するだろう。
通信業界では、すでにこうした時代を見据えた開発が始まっている。
なお、第6世代より前の通信サービスについては下記のリンク先で解説しているので必要に応じて参照してほしい。
第1世代移動通信システム (1G)
第2世代移動通信システム (2G)
第2.5世代移動通信システム (2.5G)
第3世代移動通信システム (3G)
第3.5世代移動通信システム (3.5G)
第3.9世代移動通信システム (3.9G)
第4世代移動通信システム( 4G)
第5世代移動通信システム (5G)
第6世代移動通信システム (6G)
最終更新:2020年4月
執筆:下島 朗