第3.9世代移動通信システムとは、第3世代移動通信システム(3G)の終盤から第4世代移動通信システム(4G)にかかる時期の通信サービスを表す言葉。時期的には、2010年代の前半になる。
移動通信システムは、移動しながら使える通信サービスの総称。現在のような携帯電話(スマートフォン)だけでなく、携帯電話の元になった自動車電話、一時期人気があった PHS、モバイル WiMAX(ワイマックス)などが含まれる。
第3世代を英語で 3rd Generation といって、これを略して 3G(スリージー)という。これに倣って、第3.9世代移動通信システムを 3.9G ということが多い。
移動通信システム(携帯電話サービス)は、おおむね 10年ごとに新しい世代へと移行してきた。
1980年代の第1世代移動通信システム(1G)は自動車電話と初期の携帯電話の時代で、アナログ方式で音声通話が提供されていた。
その後、1993年にデジタル方式の携帯電話サービスが登場して、ここから第2世代移動通信システム(2G)が始まった。
そして 2001年、NTTドコモが世界に先駆けて IMT-2000 という規格に対応した新しい携帯電話サービス(FOMA=フォーマ)を開始。これが、第3世代移動通信システム(3G)のスタートだった。
第3世代移動通信システムの特徴は、データ通信が実用的な速度になったこと。第2世代では数kbps だったのが、第3世代では最大384kbps から始まり、その後、最大2Mbps 程度まで上がった。
その結果、画像や音楽の送受信、携帯電話向け Webサイトの表示などに十分対応できるようになった。
さらに、そのあとも新たな規格が次々と登場して段階的に通信速度が上がっていった。このころ実用化した主な通信技術として、HSPA、HSPA+、CDMA2000 1xEV-DV などがある。
こうした技術によって、通信速度は下り最大 14Mbps 程度まで伸びた。そして、この時期を第3.5世代移動通信システム(3.5G)という。
その後、さらに LTE やモバイルWiMAX といった技術が登場して移動通信システムの進化が加速した。そして、こうした技術が実用化した時期を第3.9世代移動通信システムという。
第3.9世代移動通信システムを代表する技術は LTE で、最初のに対応したサービスは 2010年12月に始まった NTTドコモの Xi(クロッシィ)だった。その他の携帯電話会社も 2012年には LTE に対応した。
この時期は、多くの人が従来型の携帯電話機(ガラケー)からスマートフォンに乗り換えていたころで、ますます大容量で高速な通信サービスが求められていた。
なお、第3.5世代や第3.9世代の技術は、第4世代を一部先取りしたものという位置づけだった。しかし、これらの技術の中には、のちに第4世代移動通信システム(4G)として認められたものもある。
携帯電話に限らず、技術は坂を上るように連続的に発展していくのではなく、階段のように上がるときは一段上がり、しばらく同じ状態が続く。そして、同じ技術が使われているそれぞれの時期を世代という。
それぞれの世代を個別に解説しているので、必要に応じて下記のリンクから参照してほしい。
第1世代移動通信システム (1G)
第2世代移動通信システム (2G)
第2.5世代移動通信システム (2.5G)
第3世代移動通信システム (3G)
第3.5世代移動通信システム (3.5G)
第3.9世代移動通信システム (3.9G)
第4世代移動通信システム( 4G)
第5世代移動通信システム (5G)
第6世代移動通信システム (6G)
最終更新:2020年4月
執筆:下島 朗