皮むき間伐とは、林業で木を育てる過程で、密集しすぎた木を間引く方法のひとつ。スギやヒノキの皮を剥がして、立ち枯れさせてから切り倒す。
通常、林業では土地の面積に対して多めに苗木を植える。これによって当初は、木がまっすぐに育つ効果がある。そして、一定の年数が過ぎたら成長の具合を見ながら木を切って数を減らしていく。これを間伐(かんばつ)という。
間伐を行わないと、成長した木が過密になって太くなれない。また、太陽の光が地面に届かなくなり、下草が成長できなくなる。すると、土地が保水力や養分を失って森が荒れてくる。さらに、土壌の流出などによって肝心のスギやヒノキが台風や雪などで倒れやすくなる。
苗木を植えてから木材として収穫するまでの 50~70年くらいの間に、通常は数回の間伐が行われる。しかし現在は、主に人手や経済的な理由から間伐を行うことができずに荒れた森が増えている。
間伐は普通、チェーンソーなどで間引くべき木を切り倒す。間伐によって生じる木材を間伐材という。
しかし、そのまま切ると水分を含んでいるため重い。間伐材は利用価値が低いとされて搬出されずに放置されることが多い。また、利用するにしても切り出したあとで乾燥させる必要がある。
一方、皮むき間伐では、まず小型の鎌と竹ベラといった簡単な道具で根本の皮を剥がす。そして、皮を手で引き上げて剥ぎ取る。皮を失った木は水を吸い上げることができなくなって、ゆっくりと枯れていく。
こうして立ち枯れした木を 1年から 1年半くらい経ってから切り倒す。すると、すでに乾燥しているので軽くて搬出しやすいといったメリットがある。
※皮むき間伐の体験イベントの様子を、以下の記事でご覧いただくことができます。
●森と踊る木こりフェス2017@高尾 vol.1
●森と踊る木こりフェス2018@高尾
初稿公開:2017年5月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗