環境保全とは、現在の人間にとって住みやすい地球環境を人間活動によって守っていこうという活動。あるいは、そうした考え方。
人間社会が狩猟や農業に支えられていた時代は、人間の生活が環境に与える影響は小さかった。多少、水を汚したり煙を出したりしても、自然の浄化作用が機能して環境が大きく変わることはなかった。
しかし工業化が進むと、水や大気の汚染、温室効果ガスの排出などが一気に進んで、世界各地で公害問題が起きた。つまり最近(ここ数十年あるいは数百年)の人間活動は、環境に対する影響がとても大きい。
地球の何十億年という歴史のなかには、今より大幅に気温が高かったり低かったり、あるいは空気中の二酸化炭素が今よりはるかに多かった時期もある。しかし、人類が繁栄したここ数万年は、安定した穏やかな環境が保たれてきた。
この環境が、人間の活動によって変化することで、私たち人間にとって住みにくい環境に変わりつつある。少なくとも、そのように危惧されている。また、現在繁殖している動植物にも悪影響があって、人間の活動が原因で絶滅する種が増えている。
そのため、私たちの社会活動や経済活動による環境負荷(環境に対するマイナスの影響)を減らすことが求められている。そして、そうした活動が現在の環境保全の主流になっている。
具体的には、水・空気・土壌などの汚染を減らす、温室効果ガスの排出を抑えて地球温暖化をふせぐ(抑える)、自然エネルギーや再生可能エネルギーの割合を増やす、リサイクル活動(3R)で資源の消費を減らす、といった取り組みがある。
なお、国立公園などをつくって森林や動植物を守る活動は環境保護といって環境保全とは区別されてる。環境保護は、人間の関与を制限して自然の状態を維持する。環境保全は、人間が関与していい状態を保つ、あるいはいい状態に戻して行く。
初稿公開:2016年3月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗