火力発電とは、主に石炭、石油、天然ガス(LNG)などの燃料を燃やして電気をつくること。
具体的には、燃料を燃やしてお湯を沸かし、その水蒸気でタービンと呼ばれる羽根車を回す。そして、タービンに直結された発電機が回ることで電気を発生させる。これを汽力発電といって、大型の火力発電所はほぼこの方式。
このほかに、燃焼ガスでタービンを回す方式や、汽力発電とガスタービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電、ディーゼルエンジンで発電機を回す内燃力発電といった方式がある。
燃料は当初、石油が主流だった。しかし今は、石油による発電所の新設が凍結されていて、天然ガスと石炭の比率が上がっている。
火力発電のメリットは、まず安定的に大きな電力を得られること。昭和30年代に水力発電を抜いて日本の電力シェアのトップになって、その後ずっと一位を維持している。特に、2011年の福島の原発事故をうけて原子力発電が止まってから、電力需要の大部分が火力発電で賄われてきた。
次に、比較的容易に出力を調整できる。電力の需要は季節や昼夜で大きく変わる。大規模な水力発電や原子力発電は時間によって発電量を変えるのが難しい。火力発電は、これらの方式に比べると発電量を調節しやすい。また、エネルギーの変換効率も高い。
さらに、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーのように天候に左右されることがない。また、大きな工場や施設が自前の火力発電所を持っているケースも多い。
デメリットは、燃料を燃やすので二酸化炭素や大気汚染物質が出ること。それと、燃料の大部分を輸入しているので燃料代がかかり、国際情勢や為替の変動に伴うリスクがある。
とはいえ、日本にはもう大規模な水力発電に適した場所がない、原子力発電の将来は不透明、再生可能エネルギーの比率が高まるにはまだまだ時間がかかるといった情況のなか、当分は火力発電に頼る時代が続くと思われる。
初稿公開:2017年11月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗