潮力発電(ちょうりょくはつでん)とは、海の潮の満ち引きを利用して電気をつくること。
満ち潮のときは海面が高くなって、引き潮のときは海面が低くなる。そのため、入り江に堰をつくって満潮時に堰を閉じると、干潮時には入り江の中の水面が外より高くなる。そして、堰の一部を開くと中から外へ海水が流れていく。
この流れを利用して水中でプロペラを回し、その回転をタービン(発電機)に伝えて電気をつくるのが潮力発電。逆に、入り江の海水面が低いときは外から中へ水流が生じて、これも潮力発電に利用できる。
潮力発電のメリットは、自然の力を利用するため元になるエネルギーが無尽蔵にあること。そのため、再生可能エネルギーのひとつとされている。燃料を必要としないので二酸化炭素や大気汚染物質を出さないし、原子力発電のようなリスクもない。
さらに、潮の満ち引きは安定しているので発電量を予想しやすい。また、夜間も発電できる。こうした点は、天候に左右されやすく発電量の予測が難しい太陽光発電や風力発電より優れている。
しかし、潮の干満差が大きくないと成果が出にくい。また、海は漁場や航路として使われているので場所の確保が難しい。大掛かりな堰や発電施設をつくること自体が自然破壊になるという意見もある。さらに、海水の塩分で設備が傷んだり、貝や海藻の付着といった問題もある。
こうしたことから潮力発電は、意外にコストが高く、設置できる場所も限られる。そのため、海外では運用例があるものの、日本では今のところ潮力発電は実施されていない。
なお、黒潮や親潮と呼ばれる海流、あるいは海峡など潮の流れが速い場所の海流を利用して発電する方式は潮流発電といって、潮力発電とは区別するのが一般的。ただし、潮力発電と潮流発電を合わせて海流発電ということもある。
初稿公開:2017年12月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗