波力発電とは、海の波の力を利用して電気をつくること。
日本は海に囲まれているため、波力発電への期待は高い。そして、さまざまな方式の波力発電装置が開発されている。具体的には、振動水柱型空気タービン方式、ジャイロ方式、浮遊式、可動板方式などがある。
振動水柱型空気タービン方式は、発電装置の脇に空気室があって、そこに波の影響で海水が入ると空気が出ていく。逆に、海水が出ると空気が入る。その空気の流れで発電機を回す。この方式は、海上に設置された航路標識ブイの電源として利用されている。
ジャイロ方式は、回転する物体(ジャイロ)が元の姿勢に戻ろうとする力を利用する。浮遊式は、フロート(浮き)が波で上下する力を利用する。可動板方式は、海中に設置した板を波で往復させる。どれも、上下運動や前後運動を回転運動に変換して発電機を回す。
波力発電のメリットは、まず自然の力を利用するため元になるエネルギーが無尽蔵にあること。そのため、再生可能エネルギーのひとつとされている。燃料を必要としないので二酸化炭素や大気汚染物質を出さないし、原子力発電のようなリスクもない。
また、水の力を利用するのでエネルギー効率が高い。面積あたりのエネルギーは、空気の力で羽を回す風力発電の5~10倍といわれている。また、波が止まることは少ないので発電量を予想しやすい。さらに、景観や環境への影響も比較的小さいとされる。
一方で、設置やメンテナンスに費用がかかる。特に、海水中の塩分の影響が大きい。また、漁業や航路への影響といった問題もある。
なお、潮の流れを利用する潮流発電や、潮の力を利用する潮力発電は波力発電とは別モノ。別のページで、潮力発電、潮流発電、海流発電を説明しているので必要に応じて下記の index から参照してほしい。
初稿公開:2018年3月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗