水力発電とは、水が流れる力で発電機を回して電気をつくること。実際には、水が高いところから低いところへ流れる水流で水車(羽根車)を回し、水車に直結された発電機が回って電気が発生する。
水力発電というと、大きなダムを思い浮かべる人が多いと思う。この場合、湖側にある取水口から水を取り込んで下流側の発電所で発電する。ほかにも、川の流れをそのまま利用する流れ込み式や、川の横に水路を作って発電所に水を送る方式などがある。
水力発電のメリットは、まず何といっても燃料を必要としないので、二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質を出さないこと。そのため、水力発電は再生可能エネルギーの仲間とされることが多い。
また、稼働し始めると維持費が安い。そして、長く運用できる。しかも、昼も夜も安定した運転(発電)が見込める。
一方、デメリットとしては、大きなダムを作ること自体が自然破壊になるし、水没する地域の移転問題などがある。こうしたこともあって、日本では既に大規模なダムに適した場所が残っていないといわれる。
また、長年使っていると湖に土砂が溜まって水量が減る。さらに、雨が少ないと安定して稼働できないことがある。
ただし世界的に見ると、まだまだ大規模な水力発電所に適した場所があって、特に途上国では有望なエネルギー源ともいわれている。
日本では最近、渓流や用水路、浄水場や工場の水路などに小型の水力発電設備を設置するケースが増えている。これらは、小水力発電とかマイクロ水力発電といって再生可能エネルギーのひとつとされている。
このほか、山や丘の上と下に貯水池があって、昼間は上の池から下の池へ水を流して発電し、夜間にポンプで下の池から上の池に水を揚げる揚水発電(ようすいはつでん)というものがある。別のページで解説しているので、必要に応じて参照してほしい。
初稿公開:2017年11月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗