揚水発電(ようすいはつでん)とは、山や丘の上と下に貯水池があって、昼間は上の池から下の池へ水を流して水力発電を行い、夜間にポンプで下の池から上の池に水を揚げる装置。あるいは、そうした発電方式。揚水式発電ということもある。
昼間、水が流れ落ちる力を使って発電するのは分かると思う。一般の水力発電と同じだ。しかし夜間、ポンプで水を揚げるのに電気を使う。なぜ、わざわざそんなことをするのだろう?
電気の使用量は、昼間は多くて夜間は少ない。また、電気(電力)は溜めておくことができない。そのため、昼間の需要に合わせて発電設備をつくると夜間はムダな電気をつくり続けることになる。
特に一部の火力発電所や原子力発電所は、小マメに発電量を調整することができない。また、一般の水力発電は、夜も昼間と同じように水が流れているので発電を続けることができる。
こうしたことから、夜間に余っている電気でポンプを回して水を汲み上げ、需要が増える昼間に発電して不足を補うのが揚水発電の役目とされている。そのため揚水発電は、大きな蓄電設備ともいわれる。
ただし、昼間に発電できる量より、夜間の汲み上げに使う電気量の方が 3割くらい多い。また、日本各地に揚水発電設備があるものの、その稼働率はあまり高くないといわれている。
上記のように、昼も夜も発電を続ける大規模な発電所はベースロード電源と呼ばれている。電気の需要が増えると可動させる中規模の発電所はミドル電源という。
これに対して揚水発電は、電気の需要が逼迫したときだけ使う、ピーク電源のひとつとされている。
初稿公開:2017年11月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗