地熱発電とは、地中の熱によって発生する水蒸気で発電機(タービン)を回し、電気をつくる発電方式。
従来の水力発電も火力発電も原子力発電も、タービンと呼ばれる巨大な発電装置を回転させて電気をつくっている。水力発電の場合は、水の流れでタービンを回す。つまり、水車の原理。火力発電は石油や石炭、天然ガスなどを燃やして水を熱し、水蒸気でタービンを回す。原子力発電は、核反応の熱で水を熱して水蒸気でタービンを回す。
しかし、火山の水蒸気爆発や温泉を思い出してもらうと分かるように、地中には水蒸気や熱湯がたくさんある。特に火山国で温泉が豊富な日本では、無尽蔵といってもいいほどの水蒸気や熱エネルギーが地中に存在するといわれている。
これらの水蒸気や熱エネルギーを地熱発電に使えば、石油や天然ガスを輸入して燃やしたり、原子力発電所を稼働させなくても、たくさんの電気をつくることができる、と期待されている。
地熱発電のエネルギー源となる水蒸気や地熱は発電に使っても減ることはない。そのため、再生可能エネルギーのひとつとされている。火力発電と違って、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出も少ない。
一方で、地熱発電に適した地域は国立公園や国定公園になっていることが多く、開発に対する制限が多い。また、温泉の枯渇を心配する声も強い。そのため今のところ、期待が大きい割に普及のペースは遅い。
初稿公開:2016年4月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗