固定価格買取制度とは、再生可能エネルギーから発電された電気を、電力会社などが一定の価格で買い取る制度。
英語では feed-in tariff(フィード・イン・タリフ)といって、FIT と略す。tariff は「税率表」や「料金表」といった意味。読み方は、「フィット」ということが多いものの、表記は「エフアイティー」とされていることが多い。
太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱といった自然エネルギーを利用した発電方式は、かなり見聞きするようになってきたし、今後ますます普及が期待されてる。しかし、まだまだ従来の発電方式に比べて普及率が低い。
その理由はいろいろあるものの、ひとつには発電コストが高いことがある。そこで、設備の価格がこなれて普及が拡大するように、再生可能エネルギーから作られた電気を電力会社などが一定の価格で買い取るしくみが導入された。これが固定価格買取制度。
この制度は、欧米で先行していたもので、日本では2012年にスタート。たとえば当初、太陽光発電(事業用)で作られた電気は 20年間、1Kwh あたり 40円で買い取ることが法律で義務付けられた。ただしその後、年々買取価格が下がって、2019年度は住宅用が 24円まはた 26円、事業用が 14円となっている。
他の方式で発電された電気も、それぞれ買い取り価格が決められている。ただし金額は、発電方式によってまちまち。
なお、事業用の発電設備から生まれた電気は全量を売ることができる。一方、家庭用の太陽光発電(10Kw 以下)の場合、まず自宅で電気を使って、余った分だけ販売できる。
買取価格が下落傾向とはいえ、2016年現在、まだまだ火力発電などで作った電気より高かった。そのため、電力会社にとっては逆ザヤ、つまり電気の販売価格より買取価格のほうが高い状態が続いてきた。
そこで、電力会社は買い取りによって発生したコストを電気利用者から徴収している。これを、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)といって、その金額は毎月の明細書に記載されている。
初稿公開:2016年6月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗