原子力発電とは、核分裂によって発生する熱でお湯を沸かし、その水蒸気でタービン(羽根車)を回し、タービンと直結された発電機が回ることで電気をつくること。原発と略すことが多い。
火力発電は、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料を燃やして水蒸気をつくり、タービンを回す。原子力発電は、ウランの核分裂による熱で水蒸気をつくり、タービンを回す。つまり違いは、お湯を沸かす方法だけ。
原子力発電のメリットは、一度運転を始めると安定的に発電を続けられること。逆にいうと、止めるのは比較的容易だけど、再稼働に数日かかるので電力需要に応じて小マメに発電量を調整することができない。そのため、ベースロード電源といって常に一定量の電気を供給する設備とされてきた。
また、火力発電など他の発電方式に比べると低コストともいわれてきた。使用済み燃料の再利用が可能とされ、その研究が続けられてきた。しかし、研究は頓挫し、使用済み燃料の処分も見通しが立っていない。さらに今後は、廃炉のコストが増えて行く。こうしたことを考えると、本当に低コストなのか疑問視する声が増えている。
さらに日本では、2011年の福島の原発事故を受けて、多くの原発で運転停止が続いてきた。脱原発を求める声も根強い。そのため火力発電の比率が大幅に上がり、その燃料代で貿易赤字が何年も続いた。
しかし海外では、すでに原発が主流になっている国が多い。また、途上国を含めて今後も新たな原子力発電所がたくさん計画されている。世界的にみると、大きな事故を経験した日本の技術は貴重ではないかと個人的には思う。
また、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーが増えてはいるものの、まだまだ比率が低いし天候によって発電量が不安定という問題もある。再生可能エネルギーが主流になるには、まだまだ時間がかかるだろう。
こうした情況のなか、日本が原発を続けるか否か決めるのは極めて難しいと思う。
初稿公開:2017年11月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗