全固体電池(ぜんこたいでんち)とは、その名のとおり中身がすべて固体の電池(バッテリー)のこと。
電池には、使いきりの一次電池と、充電して繰り返し使える二次電池がある。そして、それぞれ使われている材料の違いと、それに伴う性能の違いによって、たくさんの種類が存在する。
しかし基本は、約200年前に発明されたボルタ電池から大きく変わっていない。電解質と呼ばれる液体の中に正極と負極、2種類の金属を入れて導線でつなぐと負極から正極に電子が流れる。
現在の電池やバッテリーは円筒形だったり四角形だったりするので、実際には電解質の中に電極をチャポンと浸けているわけではない。しかし、原理は変わっていない。そして、電解質は基本的に液体だ。
全固体電池は、この電解質を固体にしたもの。といっても、2021年4月現在、まだ開発中で、実用化は少なくとも数年先の見込み。
現在、バッテリーの主流になっているのがリチウムイオン電池と呼ばれるもの。従来の電池より強い力が出て、繰り返し使っても劣化しにくい。ここ 10年から 20年で普及した、新しくて高性能な電池だ。
現状では最強のリチウムイオン電池だけど、ひとつ問題があって、内部で正極と負極が触れると発熱して発火することもある。実際、そうした事故が起きている。
全固体電池になると、電解質が固体なので、中で電極同士が触れることがなくなる。つまり、リチウムイオン電池より安全になる。
今後、より高性能なスマホやパソコン、家電製品などが普及していくには、さらに優れた電池が必要になる。短時間で充電できて、たくさんの電気を貯められて、強い力が出て、長く使える。そして、より小型化していくことが求められる。
また、電気自動車(EV)や家庭用の蓄電池などサイズが大きくて大容量の電池の需要が増えていく。これらも全固体電池になって、さらに性能が上がることが期待されている。
全固体電池が、すべての面でリチウムイオン電池の性能を上回ることができるか現状では分からない。しかし、より進化したバッテリーにすべく研究が進められている。
最終更新:2021年4月
執筆:下島 朗