ワイヤレスLAN(Wireless LAN)は、日本では通常、無線LAN(むせんラン)と呼ばれている。どちらの言い方でも意味は同じだ。
無線LANは、電波を使ってノートパソコンやスマートフォン(スマホ)、ゲーム機などをインターネットに接続したり他の機器とデータ通信したりするための技術。あるいは、そういった通信方式。
無線LAN は、一般に Wi-Fi(ワイファイ)とも呼ばれている。本来、Wi-Fi は、メーカーが異なる機器でも無線LAN で通信できることを認証する制度だった。しかし今は、無線LAN 自体を「ワイファイ」という人が多い。
Wi-Fi については、下記のページでも詳しく解説しているので必要に応じて参照してほしい。
さて、電波を使ってインターネットに接続したりデータ通信したりする方法として、他にも携帯電話の電波、WiMAX(ワイマックス)、Bluetooth(ブルートゥース)などがある。それぞれ特徴があって、用途や状況によって使い分けられている。
無線LAN は、主に半径数メートルから数十メートルの範囲で無線接続するために使われている。具体的には、会社のオフィスや工場、店舗や施設の中、大学などの構内、住宅といった場所で利用するのが一般的だ。
無線LAN の LAN(ラン)は、Local Area Network(ローカル・エリア・ネットワーク)の略で、企業などで広く使われているコンピュータ・ネットワークのこと。LAN は元々、機器と機器を LANケーブルで接続していた。今も、企業では多くの LAN が有線で接続されている。
しかし、1990年代の終わりころから無線を使ってさまざまな機器を LAN に接続できるようになってきた。当初は通信速度が遅くて実用性が低かったけど、その後、次々と新しい規格が作られてスピードアップ。今は、有線LAN と並ぶ主要な接続方式になっている。
また、有線LAN と無線LAN の共存も可能で、たとえばスマホからルーターに無線LAN で写真を送り、ルーターに有線接続されたプリンターで印刷するといったことができる。
無線LAN を使うには、まず親機としてアクセスポイントという機器が必要だ。ただし普通は、アクセスポイントとルーターの機能が一体化した無線LAN ルーターという機器を使うことが多い。
接続する側の機器には、無線LAN の子機にあたる機能が必要になる。現在のノートパソコンやスマホは、ほぼすべてこの機能を内蔵している。プリンターやゲーム機、スマホで操作可能な家電製品も内蔵している機種が多い。デスクトップパソコンは、無線LANアダプターと呼ばれる機器を追加すれば接続できる。
無線LAN を使用するメリットは、機器によって異なる。
ノートパソコンの場合、まず職場や家庭などで場所を変えながらインターネットや LAN を使い続けることができる。また、公共施設や店舗などの Wi-Fiスポットでもインターネットの利用が可能になる。
スマホやゲーム機は、もともと有線LAN でネット接続することが想定されていないので無線LAN を利用するのが普通だ。
特にスマホは、自宅やオフィス、店舗などで無線LAN に接続すると、その間は携帯電話のデータ通信量を使わなくて済む。基本ソフト(OS)の更新やアプリのダウンロード、大きなファイルを送受信するときも、無線LAN の方が通信速度が速くて安定している。
なお、ひとくちに無線LAN といっても、実際にはたくさんの規格がある。市販の製品が対応している規格としては以下のような種類があって、機器の性能や状況に応じて使い分けることができる。
IEEE802.11b
IEEE802.11g
IEEE802.11a
IEEE802.11n (Wi-Fi 4)
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5)
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6)
初稿公開:2000年2月
最終更新:2020年1月
執筆:下島 朗