ワイファイは普通、Wi-Fi と表記されている。そして、Wi-Fi には2つの意味がある。
現在は、一般に無線LAN のことを Wi-Fi ということが多い。しかし当初は、他社製品との接続が保証された製品に付けるマークのことだった。
無線LAN については、下記のページでも詳しく解説しているので必要に応じて参照してほしい。
さて、無線LAN が登場したのは 1990年代の終わりころだった。IEEE(アイ・トリプル・イー)という業界団体が無線LAN の規格をつくり、その規格に準拠した製品が発売されるようになった。
そして、同じ規格に対応してればメーカーが違っても相互に通信できるはずだった。ところが実際には、同じメーカーの製品でもつながらないケースがあった。
そこで関連メーカーが集まって WECA(現・Wi-Fiアライアンス)という団体をつくり、相互接続の認定をするようになった。そして、これに合格した製品に Wi-Fiマークが付けられた。
Wi-Fiマークが付いた無線LAN 関連の製品なら、メーカーが違っても接続できることが保証されている。これが本来の意味。
最初に、「無線LAN のことを Wi-Fi という」と書いたけど、厳密にいうと Wi-Fiアライアンスの認証に合格した製品だけが Wi-Fi と名乗ることができる。なかには認証をとっていない製品もあるので、無線LAN > Wi-Fi ということになる。
ところが、世の中に無線LAN が普及するにしたがって、無線LAN そのものを Wi-Fi と呼ぶ人が増えてきた。たとえば、「スマホを Wi-Fi につなぐ」といった場合は無線LAN という意味。
しかも、2018年10月には、Wi-Fi の認証をしている Wi-Fiアライアンスが、無線LAN の規格が増えて分かりにくいということで、規格そのものを「Wi-Fi 〇」というようになった。〇の部分には数字が入る。
具体的には、 IEEE 802.11ax という規格に Wi-Fi 6(ワイファイ・シックス)という名前をつけた。同様に、IEEE 802.11ac を Wi-Fi 5(ワイファイ・ファイブ)、IEEE 802.11n を Wi-Fi 4(ワイファイ・フォー)ということにした。これより古い規格には、こうした名前は付けられていない。
なお、Wi-Fi は Wireless Fidelity の略とされている。ハイフン(-)を取って WiFi と書くこともある。
Fidelityは「忠実」といった意味で、Wi-Fi という言葉が生まれる前から、音楽や放送の世界では元の音を忠実に再現する技術を High Fidelity、略して Hi-Fi(ハイファイ)といっていた。これと似ていて覚えやすい言葉として Wi-Fi が作られたといわれている。
初稿公開:2002年2月
最終更新:2020年1月
執筆:下島 朗