ロングターム・エボリューション(Long Term Evolution)は通常、LTE(エルティーイー)と略されている通信分野の用語。日本語にすると「長期的な発展」といった意味。
LTE は、携帯電話で高速なデータ通信を可能にする技術、あるいは通信方式で、3G(第3世代移動通信システム)と4G(第4世代移動通信システム)をつなぐ通信技術として開発された。
そのため当初は、3.9G(第3.9世代移動通信システム)の技術とされていた。しかし後に、4G の一部として認められている。
1999年に NTTドコモが iモードを開始して、携帯電話でインターネットに接続することが一般化した。その後、2001年には IMT-2000 という規格に対応した通信サービスが始まって、3G の時代になった。
そして、ますます送受信するデータ量が増えていった。具体的には、携帯電話向けの Webサイトを見たり、電子メールに画像を添付して送ったり、データをダウンロードするといった使い方が広まった。
こうしたニーズに応えて、携帯電話のデータ通信の速度が着実に上がってきた。とはいえ 3G の時代は、光ファイバーや ADSL、無線LAN などに比べると、まだまだ通信速度が遅かった。
そのため2006年8月に、FOMAハイスピード(HSDPA)と呼ばれる技術が実用化。FOMAハイスピードに対応した携帯電話機は、下り最大3.6Mbps 、上り最大384kbpsで通信できた。この時期を、3.5G(第3.5世代移動通信システム)という。
そして、さらに高速な通信を目指して開発されたのが LTE で、この技術を使った最初のサービスは、2011年12月にスタートした NTTドコモの Xi(クロッシィ)だった。その他の大手携帯電話会社も、2012年には LTE に対応した。
LTE の最大のメリットは、やはり通信速度の向上で、最終的に下り最大 150Mbps まで上がっている。また、通信が始まるまでのわずかな遅れ(遅延)が少なくなったり、周波数の利用効率が上がるといったメリットもある。
携帯電話の分野では、このころ従来型の携帯電話機(ガラケー)からスマートフォンへの移行が進んでいた。これに伴って、ますます大容量で高速なデータ通信が求められていた。
こうした状況を受けて、2014年から 2015年にかけて LTE-Advanced(LTEアドバンスト)というさらに新しい技術が実用化。これは、名前からも分かるように LTE を進化させたもので、ここから正式に 4G の時代が始まった。
初稿公開:2008年5月
最終更新:2020年5月
執筆:下島 朗