IT の世界で「ラン」というと、オフィスや工場、学校や家庭などにある複数のコンピューターを相互接続して、データなどを送受信できるようにしたものを指す。
このようなコンピューターネットワークを、Local Area Network(ローカルエリア・ネットワーク)といって、これを略して LAN (ラン)という。
現在、もっとも多いのは、ハブと呼ばれる集線装置を介して LANケーブルで各コンピューターをつなぐ方式。パソコンだけでなく、共有情報を保存しているサーバーや外部との通信に必要なルーター、みんなで使うプリンター(複合機)なども接続されている。
LANケーブルを使って各機器を有線で接続する場合、Ethernet(イーサネット)という技術を使うのが一般的。ただし今は、無線LAN も普及していて、LANケーブルを使った有線LAN と無線LAN の共存もできる。
たとえばオフィスで、自分の席にいるときは LANケーブルで接続して、会議室では無線LAN を使うといったことが可能。あるいは家庭で、デスクトップパソコンとプリンターは LANケーブルで接続して、ノートパソコンは無線LAN でつなぐこともできる。
無線LAN なら、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末も LAN に入ることができる。パソコンで作った資料をサーバーに保存して、それをスマホやタブレットで開くといったことが可能になる。
LAN の規模にもよるけど、ルーターがあればどの機器からもインターネットに接続できる。小規模な LAN では、ルーターがハブを兼ねていることもあるし、家庭では無線LAN のアクセスポイント(親機)がルーターとハブを兼ねていることが多い。
LAN を組む一番のメリットは、データのやり取りが簡単になること。以前は、USBメモリーやメモリーカードなどを使って別のパソコンにデータを渡すことが多かったと思う。その前は、CD-R や MO、フロッピーディスクといったメディアが使われていた。
しかし LAN を組んであると、設定にもよるけど別のパソコンの内部を見てデータを送受信することが可能だ。さらに、別のパソコンの中にあるデータを手元のパソコンで開いて操作することもできる。
オフィスなどで他人のパソコンを勝手に見られない場合は、サーバーやストレージ(記憶装置)に共有データとして保存すればいい。あるいは、同じ LAN につながったパソコン同士で電子メールを送受信したり、グループウェアを使って情報を共有することもできる。
なお、最近の LAN はさらに進んでいて、規模の大きな LAN を仮想的に分割したり、逆に複数の LAN を統合して実質的にひとつの LAN として運用するといったことも行われている。
なお、離れた場所にある LAN と LAN を通信回線で結んだものを WAN(ワン)という。たとえば、企業の本社と支社、大学の本校と分校をつなぐといったケースは WAN になる。
初稿公開:1997年5月
最終更新:2020年1月
執筆:下島 朗