2020年5月現在、日本でモバイルWiMAX というと、実質的に UQコミュニケーションズが提供している UQ WiMAX のことだと思っていい。
まず、WiMAX(ワイマックス)は本来、電波を使って高速で広域なデータ通信を実現する技術。あるいは、その通信サービスだった。
WiMAX は当初、アメリカのように広い土地に住宅やオフィスが点在している地域でインターネットへの接続サービスを提供するために開発された。つまり、光ファイバーなどの固定回線の代わりとして使うことが想定されていた。
その後、さまざまな追加規格が作られるなかで、移動中も WiMAX の通信ができるように IEEE802.16e と IEEE802.16h という規格が作られて、IEEE 802.16e-2005 としてまとめられた。
これが一般にモバイルWiMAX と呼ばれるもので、通信できる距離は基地局から 1~3キロ、通信速度は 21Mbps。ハンドオーバーに対応しているので、車や電車で移動中も通信できる。
基地局は、街中などに設置された、アンテナと通信機能を兼ね備えた設備。ハンドオーバーは、通信を切らすことなく接続中の基地局から隣の基地局へ受け渡すこと。
そして日本では、WiMAX というと、このモバイルWiMAX を指すのが一般的になってきた。
2010年代になると、より新しくて高速になった WiMAX 2 や WiMAX 2.1 と呼ばれる規格が登場。そして、これらの規格に対応したサービスが、2013年10月、UQコミュニケーションズから WiMAX 2+(ワイマックス・ツープラス)という名称で提供されるようになった。
2020年現在、UQコミュニケーションズの WiMAXサービスを、単に UQ WiMAX(ユーキューワイマックス)ということが多い。しかし、これは WiMAX 2+ と同じものだと思っていい。
つまり、当初の WiMAX は光回線などの代わりとして使うために開発された技術だった。しかし今、日本で WiMAX というと UQコミュニケーションズの UQ WiMAX という状況になっている。
ほかにも数社、モバイルWiMAX のサービスを提供している会社があるけど、これらはすべて UQコミュニケーションズから設備を借りている MVNO(仮想移動体通信事業者)。そのため、どの会社と契約しても実質的に UQ WiMAX のサービスを使うかたちになる。
初稿公開:2016年7月
最終更新:2020年5月
執筆:下島 朗