「モノのインターネット」は、英語の Internet of Things(インターネット・オブ・シングス)を日本語にした言葉。普通は、IoT(アイオーティー)と略されている。
従来、インターネットに接続する機器というと、パソコンやサーバー、ルーターといった情報機器が中心だった。今は携帯電話やスマートフォン、タブレット端末も普通にインターネットに接続できる。しかし、これらも情報機器と呼べるだけの機能を備えている。
しかし今後は、こうした情報機器以外のモノも、どんどんインターネットに接続されていくし、すでに接続されはじめている。
たとえば家庭では、テレビや録画装置、オーディオ機器はもちろん、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電、エアコン、換気扇、シャッターなどもインターネットに接続されていく見込み。
企業では、大小さまざまな機械や設備、それらに取り付けられている温度・湿度・光・音・動き・振動などの各種センサーがインターネットに接続されていく。店舗でも、店内に設置されたさまざまなカメラやセンサー、あるいは商品がインターネットにつながる。
このほか、クルマに搭載された各種センサー、自動販売機、農業用のセンサーや気象用の観測機器なども接続される。
その結果、以下のことができるようになる。
まず、それぞれの機器(モノ)の状態を常に把握(モニタリング)できるようになる。そのため、異状が発生したとき遠隔地にいてもすぐに状況を確認できる。
そして、それらの機器を遠隔操作できるようになる。たとえば出先でスマートフォンを操作して自宅のレコーダーの録画設定を行う、エアコンのスイッチを入れるといったことが、より簡単にできるようになる。
産業用の機械では、温度が上昇したら出力を抑えたり、遠隔地から停止や再起動の操作を行うことが容易になる。
また、店舗ではレジの自動化や無人販売が広まっていく。同時に、在庫管理が容易になり、商品の売れ行きなどを自動的に把握できる。
さらに、こうした多種多様な機器から集められた大量のデータが自動的に蓄積されて、それがビッグデータとして活用されるようになる。すると、これまで経験的にしか分からなかったことをデータとして把握できるようになったり、新たなサービスが生み出されたりする。
こうしたことは、ずいぶん前から予想されてきたし一部は実現している。しかし、それぞれ独立した技術だったり、実用性が伴わなかったりして、なかなか普及レベルに至らなかった。
しかし最近は、従来より幅広い用途に対応した、より現実的な技術として IoT(モノのインターネット)が語られるようになっている。
その背景には、IoT に適したさまざまな無線通信技術の登場、IPv6 の実用化、5G(第5世代移動通信システム)のサービス開始、各機器(モノ)や操作側デバイス(スマートフォンなど)の発達、情報を蓄積するサーバーやストレージの大容量化、蓄積された情報を生かす技術(ビッグデータの解析や AI)の進化などがある。
初稿公開:2014年6月
最終更新:2019年11月
執筆:下島 朗