IT の分野でミラーリングというと、トラブルに備えて機器やデータを 2重化しておくこと。また、スマホの画面をテレビに映し出すこともミラーリングという。
ミラーリングのミラー(mirror)は鏡という意味で、この単語には「忠実に映す」といった意味もある。そして、鏡で映したように、2台のハードディスク(あるいは SSD)に 同じデータを自動的に記録するのが最も代表的なミラーリングだ。
データ保存のミラーリングには、通常、RAID 1(レイド1)と呼ばれる方法が使われていて、逆に RAID 1 のことを「ミラーリング」ということもある。この場合、同じ容量の偶数台のハードディスクを使用する。そして、実質的に使えるディスク容量が全体の半分になる。
たとえば、1TB(テラバイト)のハードディスクを 2台使った場合、保存できるデータは 1TB だけ。2台合計の容量は 2TB なのでミラーリングすることで本来の半分しかデータを記録できない。
しかし、ミラーリング(RAID 1)を行っていることで、片方のハードディスクが故障しても、残りの 1台からデータを読み出すことができる。これが、容量が無駄になってもミラーリングを行う最大の理由だ。
次に、サーバーのミラーリングがある。業務用のコンピューターが故障して止まると支障が大きい。特に、ネット通販などのビジネスを行っていると、停止中に売上減少などの実害が発生する。
そのため、サーバー1台で運用するのではなく、まったく同じサーバーを離れた場所に設置して両方を動かしておく。普段は、どちらにもアクセスできるようにしておいて中のデータも同じになっている。
そして、もしも片方が止まったら残りの 1台で運用して、その間に故障した方を修理する。このような目的で設置されている 2台目のサーバーをミラーサーバーという。
今は、データ量もアクセス数も膨大なため、実際にはサーバー 2台だけでミラーリングという例は少ないと思う。データセンターと呼ばれる大型施設や、そこで提供されているクラウドサービスでは、もっと多くの機器を複雑に組み合わせて運用している。
しかし、複数のサーバーを並行して動かすことで安全性を確保するというミラーリングの基本的な考え方は変わらない。
最後に、スマホの画面をテレビに映し出すミラーリング。これは、画面ミラーリングということもある。
たとえば、動画やゲームを大画面で楽しみたいとき、スマホの画面をそのままテレビに映し出すことができる。イベントや研修でスマホの画面をたくさんの人に見せたいときも役に立つ。
スマホとテレビの接続は、HDMI などのケーブルを使う方法と、Wi-Fi などの電波を使う方法がある。
初稿公開:1999年12月
最終更新:2021年3月
執筆:下島 朗