マイクロ水力発電とは、小規模な水力発電のこと。再生可能エネルギー(自然エネルギー)のひとつとして今後の普及が期待されている。
水力発電というと、大規模なダムを造って大型タービン(発電装置)を回す発電施設をイメージする人が多いだろう。しかし、昔からある水車くらいのサイズで小型発電機を回して電気を得ることもできる。こうした規模の水力発電を、一般に小水力発電と呼んでいる。
小水力発電について、統一された定義はない。しかし、発電量 1,000kW 以下の設備が一般に小水力発電とされている。さらに、200kW 以下をマイクロ水力発電とすることが多い。
マイクロ水力発電は、小川のほか農業用水路や工業用水路、上下水道の設備(浄水場など)の中、工場やビルの給排水設備など、多くの場所に設置が可能。設置場所に応じて、サイズや形状、発電量などを選ぶことができる。
またマイクロ水力発電は、夜間や荒天時には発電できない太陽光発電、風がないと発電できない風力発電などに比べると、比較的安定して稼働させることができる。
ただし、ゴミや枯葉の除去など定期的なメンテナンスが必要だ。さらに、水不足や大雨による発電量の増減や、洪水などによる設備の破損などの心配もある。
さらに問題なのが、水利権の問題。公共の河川はもちろん、農業用水や工業用水でも発電に利用するとなると河川法の制限がかかる。そのため設置までの手続きが煩雑で、普及の足かせとなっている。
ただし 2013年には河川法が改正されて、1,000kW 以下の小水力発電の設置手続きが以前より簡素化されている。今後も、こうした規制緩和が進んでマイクロ水力発電が普及していくことを期待したい。
初稿公開:2016年5月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗