ベースロード電源とは、社会の維持に必要な電気を低コストで安定的に供給するための電源。そのための発電方式。
電気の使用量は、季節によって、また 1日の中でも時間帯によって大きく変わる。といっても、最も需要が少ない時期(時間)でも一定の電気は使われている。逆にいうと、この電気は社会や生活を維持するために必要な止まると困る電気量ということになる。
こうした基本的な需要を賄うのがベースロード電源で、日本ではダムを使った水力発電、石炭火力発電、原子力発電、地熱発電が該当する。どの方式も、一度稼働すると安定して発電を続けることができる。また、他の発電方式に比べると運用コストが低いとされている。
ただし、ダム式の水力発電は建設可能な場所が限られて、既に国内には適した場所がないといわれている。原子力発電は、2011年の事故以来、ほとんど停止している。地熱発電は期待が大きいものの、まだまだ実例が少ない。そのため、この原稿の執筆時(2018年)には石炭火力発電が大きな役割りを果たしている。
原子力発電で大きな事故があると大変な被害が出ることは認識されているものの、一部で原子力発電所の再稼働を求める声が消えないのは、ベースロード電源としての期待が大きいから。原子力発電所は、稼働しはじめると昼夜を問わず安定的に発電を続けることができる。
電気の需要が増えてベースロード電源だけでは足りなくなると、ミドル電源と呼ばれる発電方式が使われる。日本では、LNG(液化天然ガス)とLPガスによる火力発電が該当する。ベースロード電源より燃料費が高いものの、必要に応じて稼働や停止、出力の調整ができる。
真夏の昼間など、さらに電気が必要になったときはピーク電源と呼ばれる方式を使う。具体的には、石油火力発電や揚水発電が該当する。石油は利用価値が高いため値段が高く、燃料として使うにはもったいない。揚水発電は、夜間に余剰電力を使って山の上の貯水池にポンプで水を揚げて、そこから流れ落ちる水力で発電する。
なお、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、天候や時間によって発電量が変わるものが多い。また、人間の都合で発電量を調整するのが難しい。今後、再生可能エネルギーを主要な発電方式にしていくには、こうした点にも対応していく必要がある。
初稿公開:2018年4月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗