ピーク電源とは、電気の使用量が増えたとき使われる電源。そのための発電方式。
電気の使用量は、季節によって、また 1日の中でも時間帯によって大きく変わる。といっても、最も需要が少ない時期(時間)でも一定の電気は使われている。逆にいうと、この電気は社会や生活を維持するために必要な止まると困る電気量ということになる。
こうした基本的な需要を賄うのがベースロード電源で、日本ではダムを使った水力発電、石炭火力発電、原子力発電、地熱発電が該当する。どの方式も、一度稼働すると安定して発電を続けることができる。また、他の発電方式に比べると運用コストが低いとされている。
2011年の事故によって原発のリスクは認識されているものの、一部で再稼働の声が消えないのは、このベースロード電源としての利用に期待が大きいから。
電気の需要が増えてベースロード電源だけでは足りなくなると、ミドル電源が使われる。日本では、LNG(液化天然ガス)とLPガスによる火力発電がミドル電源に該当する。
これらは、ベースロード電源より燃料費が高いものの、必要に応じて稼働や停止、出力の調整ができる。また、LNG と LPガスは、さまざまな国から輸入できるため、石油ほど高価ではなく供給も安定している。
真夏の昼間など、さらに電気が必要になったときはピーク電源の出番となる。具体的には、石油火力発電や揚水発電が該当する。
石油は利用価値が高く、価格も高い。そのため、燃料として使うのはもったいない。また、産油国の情勢によって供給量や価格が変動する。ただし、稼働や停止、出力の調整は容易だ。
揚水発電は、夜間の余剰電力を使って山の上の貯水池にポンプで水を揚げて、そこから流れ落ちる水力で発電する。発電量より水を揚げるために使う電力のほうが大きいものの、夜中に使われずに消えていく電気を利用できる。そして、必要なときだけ活用できるので一種の蓄電装置といえる。
なお、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、天候や時間によって発電量が変わるものが多い。また、人間の都合で発電量を調整するのが難しい。今後、再生可能エネルギーを主要な発電方式にしていくには、こうした点にも対応していく必要がある。
初稿公開:2018年4月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗