いわゆる普通のクラウドサービスやその設備を、パブリッククラウドというケースが増えている。
パブリッククラウドの「クラウド」は、クラウド・コンピューティングという意味。クラウド・コンピューティングは、IT企業が用意したサーバーやストレージ(記憶装置)、通信設備、ソフトウェアなどを月単位や年単位で借りて使うこと。
ユーザーは、手元のパソコンなどからインターネット経由でクラウドのサーバー等にアクセスして設備やソフトウェアを利用する。主に企業向けのサービスだけど、今は個人で使えるサービスも多い。
実際には、サーバーやストレージ、通信設備、ソフトウェアなどは、データセンターと呼ばれる専用の施設(建物)に納められている。データセンターは、建物が丈夫で安全性が高く、バックアップ電源などの設備も整っている。また、人の入退出も厳しく管理されている。
ただし、一般的なクラウドサービスだと、同じデータセンターの中にあるサーバーやストレージなどの設備を複数のユーザー(企業)が共有している。例えていうと、大きな雑居ビルのような感じ。あるいは、巨大な展示場に各社が大小さまざまなブースを並べているイメージ。
もちろんデータセンターの場合、他のユーザーが使用してる領域には入れないし、データを見ることもできない。セキュリティは守られている。とはいえ、設備にトラブルがあればユーザーにも影響が及ぶし、あまりカスタマイズできななど利用方法にも制限が多い。
そこで、大手企業では独自にデータセンターを作って、自社だけ、あるいは自社と関連企業だけで利用するケースが出てきた。そして、これをプライベートクラウドといって、従来のクラウドと区別するようになった。
こうした流れに対して、IT企業が用意して複数のユーザーが共有する従来方式のデータセンター(その中の設備やソフトウェア)をパブリッククラウドと呼ぶようになった。
初稿公開:2008年3月
最終更新:2021年8月
執筆:下島 朗