バックアップは本来、「後ろから支える」という意味の英単語だけど、IT の世界ではトラブルに備えて機器やデータを 2重化(あるいは多重化)しておくことをバックアップという。
分かりやすいのはパソコンのデータ。文書ファイルや画像、電子メールの送受信記録、ブラウザーの設定など、普通は内蔵ハードディスク(あるいは SSD)に記録されている。もしも、このハードディスクが故障すると、すべてのデータを失ってしまう。
そのため、多くの人が同じデータを外付けのハードディスクにも保存していると思う。今は、クラウド型のストレージ(GoogleドライブやマイクロソフトのOneDrive、アップルの iCloud など)に保存していることも多い。以前は、DVD-R などのメディアに記録することが多かった。
このように、いざというときに備えて別の記憶装置や記録メディアに保存しているデータをバックアップ・データといって、保存することを「バックアップする」とか「バックアップを取る」という。
スマホの場合、機種によっては内部のデータをメモリーカードにバックアップすることも可能だけど、普通は iCloud や Googleドライブの一部に自動的にバックアップされている。そして、機種変更などの祭は、このデータを新しいスマホに取り込む。
業務用のコンピューター(サーバー)やストレージ(記憶装置)は、個人のパソコンやスマホより、さらに重要なデータがたくさん保存されている。そのため、自動的にバックアップされるしくみが導入されている。
具体的には、RAID という技術を使って、特に操作をしなくても常に自動的にデータが 2重保存されるようになっていたりする。これを、ミラーリングという。
あるいは、サーバー自体を 2台(あるいは複数台)動かしていて、1台が止まっても業務を続けられるようになっている。この場合、予備のサーバーをミラーサーバーということがある。
さらに、こうした機器につながっている通信回線も、トラブルが発生しても通信が途切れないように多重化されている。これを、バックアップ回線という。
電源も、停電が起きてもコンピューターや通信機器が止まらないように予備電源が用意されていることが多い。これは、バックアップ電源という。
初稿公開:1997年5月
最終更新:2021年3月
執筆:下島 朗