バイオマス発電とは、バイオマスと呼ばれる植物や動物に由来する燃料を燃やして電気をつくること。
火力発電所は、石油や石炭、天然ガスを燃やしてお湯を沸かし、そこから発生する水蒸気でタービンと呼ばれる発電装置を回している。現在、主流の発電方法だけど、問題が 2つある。まず、資源として有限な化石燃料を燃やすこと。そして、その際に二酸化炭素(CO2)が出ること。二酸化炭素は、代表的な温室効果ガスとされている。
バイオマス発電所では、不要な木材などからつくったバイオマスと呼ばれる燃料を燃やしてお湯を沸かし、その水蒸気でタービンを回す。つまり、しくみは火力発電所と同じだけど燃料が違う。
バイオマスとは、生物(バイオ=bio)に由来する燃料で、それを一定量(マス=mass)にまとめたもの。分かりやすい例として、林業で出る間伐材や製材所で出る木屑を木質チップやペレットと呼ばれる固形燃料にしたものがある。
同様に、古紙、家畜の糞、食品廃棄物などから燃料をつくるのもバイオマスの一例。このほか、家畜の糞尿からメタンガスを作ったり、サトウキビやトウモロコシからエタノールを作って燃料にするといった例もある。
石炭や石油も、元々は太古の動植物だった(異説もある)。しかし、その生成には何百万年もかかり、私たちが生きている間には再生できない。
しかしバイオマスは、生物がいて水や太陽があれば比較的短期間(長くて数十年)で再生できる。そのためバイオマスも、再生可能エネルギーのひとつとされている。
でも、燃料を燃やすと二酸化炭素(CO2)が出るからエコじゃない、と思う人もいるだろう。しかし、原料となる木は成長段階で二酸化炭素を吸収して酸素を作っている。だから、長い目で見ると地球上の二酸化炭素を増やしていないと考える。これを、カーボンニュートラルという。
初稿公開:2016年5月
最終更新:2019年5月
執筆:下島 朗