ハードディスクは、より正確にはハードディスク・ドライブ(Hard Disk Drive)といって、これを HDD と略すことが多い。
ハードディスクは、主にコンピューターのソフトウェアやデータを保存する装置で、パソコンから業務用のコンピューターまで幅広く使われてきた。今は、テレビ番組を録画するレコーダーや、録画可能なテレビでも使われている。
ハードディスク(Hard Disk)は「固い円盤」という意味で、ドライブ(Drive)は「ソフトウェアやデータを読み出す装置」といった意味。実際には、読み出しだけでなく書き込みもできる。
ハードディスクの中には、金属のディスク(円盤)が数枚入っている。ディスクの表面は磁気を帯びていて、磁気のプラスとマイナスの組み合わせによってデータを記録する。ただしディスクは、金属の箱に密閉されているので見ることはできない。
硬い円盤があるなら、柔らかい円盤もあるのかというと、以前はあった。フロッピーディスクの「フロッピー」は「ペラペラした」という意味。特に、初期の大判フロッピー(5インチや8インチ)は紙のケースに入っていて、プラスチックの下敷きのように本当にペラペラしていた。
ハードディスクには、内蔵型と外付け型がある。
内蔵型は、上記のように金属の箱の状態でパソコンに組み込まれている。また、大きめのデスクトップパソコンは、この状態のハードディスクを内部に追加できることが多い。サイズは、3.5インチと 2.5インチの 2種類。
外付け型のハードディスクは、上記の金属の箱がプラスチックの筐体に入っている。そして今は、USBケーブルでパソコンに接続して使うのが一般的。以前は、SCSI(スカジー)などの方式も使われていた。
また、有線LAN で接続して複数のパソコンで共有できるハードディスクもある。これは NAS(ナス)と呼ばれて、一般的な外付けハードディスクとは区別される。
業務用のサーバーやストレージの場合、基本的には内蔵型の状態でコンピューターや専用ケースに収められている。複数のハードディスクを組み込んで使うことが多く、必要に応じて取り外しや交換ができる。
ハードディスクは長年、コンピューターの主要な記憶装置として使われてきた。しかし今は、ハードディスクの代わりに SSD(ソリット・ステート・ドライブ)を使うケースが増えている。
ハードディスクのメリットは、まず容量が大きいこと。初期のハードディスクは数十MB(メガバイト)という容量だったけど、その後、GB(ギガバイト)の時代を経て、今は数TB(テラバイト)のハードディスクが普通に使われている。そして、容量が大きい割に値段が安い。
しかしハードディスクは、円盤を回転させてデータを読み書きするので、データの読み出しや書き込みに時間がかかる。また、衝撃に弱く、長く使っていると故障率が高くなる。
一方、金属の円盤ではなくフラッシュメモリーにデータを記録する SSD は、読み書きが速くて衝撃に強い。また、消費電力が少ない。ただし、値段が高めで、特に容量を増やすとかなり高価になる。
しかし、軽量化や省電力が求められるノートパソコンや、信頼性と読み書き速度が重視される業務用のコンピューターやストレージを中心に ハードディスクから SSD への移行が進んでいる。
初稿公開:1997年6月
最終更新:2021年2月
執筆:下島 朗