ガラスマは、ガラパゴス・スマートフォンの略。
ガラパゴスは、東太平洋上にあるガラパゴス諸島のこと。スマートフォンは、現在主流のタッチ操作に対応した多機能な携帯電話端末。
大陸から離れたガラパゴス諸島には、独自に進化した動物がたくさんいる。同じように、世界市場から隔離された市場で独自の進化を遂げたスマートフォンをガラパゴス・スマートフォン、略してガラスマという。
実際には、「世界市場から隔離された市場」とは日本のことで、ガラスマとは事実上、日本独自の機能を搭載したスマートフォンを指している。また、携帯電話以外の製品やサービスでも、限られた市場で独自の進化を遂げることを「ガラパゴス化」とか「ガラパゴス現象」ということがある。
スマートフォンが主流になる前、日本では多機能な携帯電話機が普及していた。そして、それらの機種にばワンセグ放送、おサイフケータイ、赤外線通信といった機能が当たり前のように付いていた。
しかし、こうした機能の多くは日本独自のもので海外では使えない、あるいは普及していないものだった。そのため、こうした多機能電話機はガラパゴス・ケータイ(ガラケー)と呼ばれていた。
日本でスマートフォンが普及し始めたころは、世界標準といわれる製品が主流だった。つまり、日本独自のワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信などの機能は搭載されていなかった。そのために、スマートフォンへの乗り換えを躊躇した人も多いといわれる。
しかしその後、こうした日本独自の機能を使えるスマートフォンが発売されるようになってきた。そして、こうした機種がガラパゴス・スマートフォン=ガラスマと呼ばれるようになった。
世界標準の端末は、大きな市場で大量かつ安価に供給される。こうした機種には、日本のガラスマほど多様な機能はないものの、多くの国で販売できるし、さまざまな国で使えるというメリットがある。
一方、ガラパゴス化した日本のスマートフォンは、海外では使えない機能が多い、だから日本でしか売れない、そして値段が高いということになる。これらを一概に悪いはいえないものの、世界標準から外れることを危惧する声もあった。
しかし、その後、世界標準のスマホが電子マネーに対応し、映像の視聴は YouTube(ユーチューブ)や Netflix(ネットフリックス)が多くなり、一方で赤外線通信のニーズが減るなかで、ガラスマという言葉が使われる機会も減ってきた。
初稿公開:2012年1月
最終更新:2020年5月
執筆:下島 朗