カーボンオフセットとは、ざっくり言うと「どうしても出てしまう二酸化炭素を別の活動で埋め合わせしよう」という考え方や活動。
カーボン(carbon)は「炭素」という意味で、ここでは二酸化炭素を指している。オフセット(offset)は「相殺する」「埋め合わせをする」といった意味。
二酸化炭素は、代表的な温室効果ガスとされている。つまり、空気中に二酸化炭素が増えると地球の気温が上がり、環境が大きく変化する。これを防ぐために、二酸化炭素の排出を減らす取り組みが世界的に行われている。
とはいえ、日常生活や産業活動で、どうしても出てしまう二酸化炭素がある。これについては、「まずは減らす努力をしましょう」というのが基本。しかし、どうしても出てしまう分は「別の方法で埋め合わせをしましょう」というのがカーボンオフセットの考え方。
具体的な方法としては、たとえば森林を増やす活動がある。木は二酸化炭素を吸収してくれる。あるいは、太陽光発電や風力発電のように二酸化炭素を出さないエネルギーの開発に取り組む。さらに、二酸化炭素を集めて地中や水中に閉じ込める貯留という方法もある。
こうした取り組みによって、どれだけ二酸化炭素を削減したか確認し、環境保護団体やエコ関連企業が証明書を発行する。そして、それに見合う分の二酸化炭素は排出しても差し引きゼロなのでよしとする。
カーボンオフセットの考え方は、20世紀末にヨーロッパで生まれた。今は、日本でも普及している。しかし、結局は差し引きゼロなので、温室効果ガス(二酸化炭素)の削減にはなっていないという意見もある。
なお、廃材や植物由来の燃料を燃やして発電しても、もともと植物は成長段階で二酸化炭素を減らしていたから実質的に二酸化炭素の量は変わっていない、という考え方がある。これは、カーボンニュートラルという。
そして最近は、カーボンオフセットとカーボンニュートラルの境があいまいになりつつある。一般的な産業でも、カーボンオフセットによって二酸化炭素を出す量と減らす量が同じなら、それはカーボンニュートラルといった認識が広まっている。
初稿公開:2019年4月
最終更新:2020年12月
執筆:下島 朗