エフティーピーは、インターネットを通じて遠く離れたコンピューターから手元のパソコンにファイルを転送する技術やしくみ。手元のパソコンから、遠くのコンピューターにファイルを送ることもできる。
本来は、FTP と表記する。これは、File Transfer Protocol(ファイル・トランスファー・プロトコル)の略で、日本語では「ファイル転送プロトコル」という。小文字で ftp と書くこともある。
プロトコルは、コンピューターや通信機器がデータを送受信するために必要な基本ルールのようなもの。そのため FTP は本来、「ファイル転送の通信方式を定めた約束事」といった意味でもある。
FTP は、とても古い技術で、インターネットの原型ができたころから使われている。かつて、インターネットがまだ研究者のものだったころ、海外の大学のコンピューターに保存されている資料(ファイル)を自分のパソコンに取り込むといった目的で使われることが多かった。
今は、ブラウザーソフトを使って Webサイトからさまざまな情報を得ることができる。データファイルのダウンロードも可能だ。そのため、FTP や FTP専用ソフトを利用する機会は減っている。
ただし、Webサイトを作るときは、今でもデータを FTP でサーバーに転送することがある。また、FTPソフトでサーバーの中を見て、ファイルを整理したり削除したりすることもできる。
とはいえ、今はブラウザーで開いた管理ページでファイルを転送できることが多いし、ホームページ作成ソフトにファイル転送の機能が付いていたりする。そのため、FTPソフトを使わなくても、また FTP を意識しなくても、FTP の機能を使っていることがある。
なお、FTP は古くてシンプルな技術なので安全性が低い。悪意のある人に途中でデータを傍受されて内容を見られるリスクがある。そのため、安全性を高めた FTP が作られている。
具体的には、FTPS(File Transfer Protocol over SSL/TLS)や SFTP(SSH File Transfer Protocol)といったものがあって、どちらも従来の FTP にデータを暗号化する機能を追加したもの。
初稿公開:1997年11月
最終更新:2020年12月
執筆:下島 朗