イーサネット(Ethernet)は、サーバーやパソコンなどのコンピューターを相互接続して有線LAN を組むときに広く使われてきた規格。コンピューター同士を、どんな方法で接続するか、どんなケーブルを使うか、どんなルールでデータを送るか、といったことが決められている。
パッと見、名称がインターネット(Internet)に似ているけど、イーサネットはインターネットを形づくるために使われてきた、たくさんの技術の中のひとつ。どちらかというと、データ通信の装置に関連した規格で、インターネット以外のコンピューターネットワークでも利用されている。
イーサネットにはいろいろな種類があって、初期に普及したのが 10BASE-T(テン・ベース・ティー)という方式。電話のモジュラージャックを一回り大きくしたような、プラスチックの接続端子が付いた LANケーブルを使う。そして普通は、コンピューター同士を直接つなぐのではなく、ハブという装置を介して接続する。
ほかに、10BASE-2 や 10BASE-5 という方式があった。しかし、この 2つは接続が面倒なので順次、10BASE-T に置き換わっていった。これらの通信速度は 10Mbps(メガビット毎秒)で、当時は実用的と思われていたものの、今にしてみるとかなり遅い。
そのため、10BASE-T の 10倍の速度の 100BASE-TX という方式が登場した。これに伴って、ハブや LANケーブルも進化したものの、見た目は変わっていない。
しかし、その後もコンピューターネットワークを流れるデータは増大し続けて、ネットワーク同士を接続する基幹線のために、さらに通信速度が高い方式が求められるようになってきた。
こうしたニーズに応えるために開発されたのが、1000BASE-T などの規格で、当初の 100倍の 1000Mbps=1Gbps の通信速度を実現している。そのため、この規格を一般に、1GbE とか「ギガビット・イーサネット」ということが多い。
さらに 2020年現在、1000BASE-T の 10倍のスピードを実現した 10GBASE-T(10GbE=10ギガビット・イーサネット)が実用化している。
なお実際には、イーサネットにはもっとたくさんの規格がある。ここに書いたのは、代表的な規格だけだと思ってほしい。
広く普及して、今も進化しながら使われているイーサネットだけど、ひとつ弱点がある。通信できる距離が、数十メートルから数百メートルと短い。そのため、構内ネットワーク(LAN)を組むために使われてきた。
しかし今は、長距離通信に対応した広域イーサネット(Wide Area Ethernet)という技術も開発されていて、これは WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)の構築などに利用されている。
初稿公開:1997年6月
最終更新:2020年8月
執筆:下島 朗