アーンドメディア(Earned Media)は、SNS や通販サイト・飲食店紹介サイト等の口コミ情報(ユーザーの評価)などのこと。意訳すると、「他者によって情報が拡散される媒体」といった意味。
メディアは、「情報などを伝達するもの」といった意味で、日本語では「媒体」という。従来は、テレビや新聞・雑誌などを指すことが多かったけど、今はインターネットが勢力を伸ばしている。
ここで語っている「メディア」は、主にインターネット上で自社の製品やサービスを広く知らせるための媒体といった意味。アーンドメディアのほかに、オウンドメディア(Owned Media)とペイドメディア(Paid Media)と呼ばれるものがある。
オウンドメディアは、狭い意味では自社で運営している Webマガジン(インターネット版の雑誌)やブログのこと。一般的には、公式サイト(ホームページ)、製品・サービス・事業別の Webサイト、メルマガなどを含めてオウンドメディアということが多い。
これらは、自社の方針に沿って制作して公開や配信ができる。そのため、オウンドメディア=自社所有の媒体と呼ばれている。
ペイドメディアは「お金を払う媒体」といった意味で、実質的に広告のこと。
従来の広告(新聞・雑誌・テレビ・交通広告など)とインターネット上の広告を合わせてペイドメディアという。しかし、あえてペイドメディアというときはインターネット上の広告を対象にしていることが多い。
オウンドメディアとペイドメディアは、その会社が希望する情報を発信できる。これに対してアーンドメディアは、ほとんどコントロールできない。
たとえば、通販サイトや飲食店紹介サイトの口コミにどんな評価が書かれるかは分からない。お金を払ったり、製品を無償提供して良い評価を書いてもらうのは、いわゆる「やらせ」で違反行為になる。
SNS の場合は、自社アカウントを使って製品やサービスを PR することができる。しかし、それがシェアされたり、リツイートされて拡散するかどうかは分からない。内容によっては炎上することもある。
広い意味では、紙の雑誌や新聞で記事として紹介されたり、テレビ番組で取り上げられることもアーンドメディアといえる。そのため企業は、マスメディアに対してニュースリリースを発信している。しかし、取り上げてもらえるかどうかは、やはり相手しだいだ。
とはいえ、アーンドメディアで広まった情報は消費行動に大きく影響する。そのため今は、製品名やサービス名でインターネット検索して確認している企業が多いし、何とかして SNS で良い話題を広めよう(バズらせよう)と努力している企業もある。
なお、見込み客からリピーター(優良顧客)まで、さまざまな段階の顧客に的確に情報発信していくには、上記3種類のメディア(媒体)を上手に組み合わせることが必要とされている。
そのため、アーンドメディア、オウンドメディア、ペイドメディアの3つを合わせて、トリプルメディアと呼ぶことがある。
最終更新:2020年12月
執筆:下島 朗