アイシーティーは本来、アルファベットで ICT と表記される。これは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略で、日本語にすると「情報通信技術」という意味。
日本では、ほぼ同じ意味で IT (アイティー)という言葉がよく使われている。しかし、海外では ICT という言い方のほうが普及している国も多い。そのため、日本でも ICT という表現を使うことが少なくない。
IT は Information Technology(インフォメーション・テクノロジー)の略で「情報技術」という意味。デジタル化された情報やサービス、これらを扱うための機器やソフトウェア全般を含む広い意味を持つ言葉。
サーバーなどの業務用コンピューター、パソコンやスマートフォンなど個人で使う情報機器、これらを組み合わせた情報システムや、こうした機器で使うソフトウェア、さまざまなデータなど、すべて IT に含まれる。
さらに重要なのが、デジタル化された情報をやり取りする通信システムやインターネット。あるいは、光ファイバーや無線LAN(Wi-Fi)、携帯電話の通信網などで、これらが IT を支える重要な要素になっている。
そのため、IT に「通信」(Communication)という言葉を加えたのがICTで、このほうが実情に合っているように思う。しかし通常は、通信技術も含めて IT といっている。特に使い分けのルールはない。
実際、インターネットで提供されているさまざまなサービスや、スマホアプリで利用できるいろいろな機能も ICT の一部。今は、機器やソフトウェアの進化より、むしろこうしたサービス面の発展や拡大が大きい。
また、今は ICT は特定の産業分野だけのものではない。従来は ICT とは関係ないと思われていた業種でも、ICT を使って業務を効率化したり、業務そのものを変えていくことが避けられない。
一般の人も ICT なしで生活することはできなくなっている。たとえば、テレビもデジタル放送になっているし、いわゆるガラケー(従来型の携帯電話機)でも通信方式はデジタル化されている。
さらに最近は、IoT(モノのインターネット)といって、車や家電などの製品、工場や農業施設などに設置された各種センサーなどが自律的に情報を交換し、そうしたデータが自動的に収集されている。そして、こうした技術も ICT の一分野として発展している。
また、こうした膨大な機器から集められたビッグデータ、実用化が進む AI(人工知能)、電子マネーや仮想通貨といった分野も含まれる。つまり、デジタル情報を利用する技術やノウハウを含めて ICT とされている。
いずれのケースでも、機器の性能やソフトウェアの機能、あるいはデータの蓄積よりも、情報が流通したり活用されること、つまり「通信する」ことで価値が上がる。通信の重要性は、ますます高まっている。
初稿公開:2006年3月
最終更新:2019年11月
執筆:下島 朗