ITの分野では、1990年代の後半に提供された携帯電話の通信サービスを 2.5G(にぃてんごジー)ということがある。日本語では「第2.5世代移動通信システム」という。
第2世代を英語で 2nd Generation といって、これを略して 2G(ツージー / にジー)という。そして、この第2世代より半歩進んだ技術を使っていたので、第2.5世代=2.5G と呼ばれた。
なお、通信速度や通信容量の話で 2.5G といった場合(たとえば、2.5Gbps や 2.5Gバイト)は「2.5ギガ」という意味で、G=ギガは約10億を表す単位。ここで説明している 2.5G とは意味が異なる。
移動通信システムは、移動しながら使える通信サービスの総称。現在のような携帯電話(スマートフォン)だけでなく、携帯電話の元になった自動車電話、一時期人気があった PHS、モバイルWiMAX(ワイマックス)などが含まれる。
携帯電話の原点は、1979年12月に始まった自動車電話だった。持ち歩けるサイズの携帯電話機が登場したのは 1987年で、当時の通信方式はアナログだった。そして、このころの通信サービスを 1G(第1世代移動通信システム)という。
その後、1993年にデジタル方式の携帯電話サービスが登場して、ここから 2G(第2世代移動通信システム)が始まった。電話機も小型化して、電子メールや携帯電話向けの Webサイトを利用できるようになってきた。
1G と 2G の携帯電話サービスは、国や地域ごとに規格が違っていた。そのため、1980年代の後半から国際電気通信連合(ITU)という組織が、「2000年には世界中で同じ規格で通信サービスが提供されるようにしよう」ということで準備を進めて来た。
そのための規格を IMT-2000 といって、CDMA(シーディーエムエイ)と呼ばれる技術が使われることになった。そして、2000年代になると IMT-2000 に対応した携帯電話サービスが次々登場。この時期を、3G(第3世代移動通信システム)という。
しかし、これに先立って 1998年に cdmaOne(シーディーエムエイワン)という技術を使ったサービスが始まった。そして、これを「第2世代より進化していて、第3世代を先取りしている」という意味で第2.5世代=2.5G ということがある。
携帯電話に限らず、技術は坂を上るように連続的に発展していくのではなく、階段のように上がるときは一段上がり、しばらく同じ状態が続く。そして、同じ技術が使われているそれぞれの時期を世代という。
2.5G のようなイレギュラーがあるものの、移動通信システムは、おおむね 10年ごとに世代が進んできた。それぞれ個別に解説しているので、以下のリンクから参照してほしい。
1G [いちジー] (第1世代移動通信システム)
2G [にジー] (第2世代移動通信システム)
2.5G [にぃてんごジー] (第2.5世代移動通信システム)
3G [さんジー] (第3世代移動通信システム)
3.5G [さんてんごジー] (第3.5世代移動通信システム)
3.9G [さんてんきゅうジー] (第3.9世代移動通信システム)
4G [よんジー] (第4世代移動通信システム)
5G [ごジー] (第5世代移動通信システム)
6G [ろくジー] (第6世代移動通信システム)
初稿公開:2004年11月
最終更新:2020年5月
執筆:下島 朗