ITの分野では、2001年から始まった携帯電話の通信サービスを「第3世代移動通信システム」という。第3世代のことを英語で 3rd Generation といって、これを 3G と略して「スリージー」と読むことが多い。また、「さんジー」ということもある。
なお、通信速度や通信容量の話で 3G といった場合(たとえば、3Gbps や 3Gバイト)は「3ギガ」という意味で、G=ギガは約10億を表す単位。ここで説明している 3G とは意味が異なる。
移動通信システムは、移動しながら使える通信サービスの総称。現在のような携帯電話(スマートフォン)だけでなく、携帯電話の元になった自動車電話、一時期人気があった PHS、モバイルWiMAX(ワイマックス)などが含まれる。
携帯電話の原点は、1979年12月に始まった自動車電話だった。持ち歩けるサイズの携帯電話機が登場したのは 1987年で、このころの通信サービスは 1G(第1世代移動通信システム)と呼ばれている。
1G の通信サービスはアナログ方式で、できるのは音声通話だけだった。
その後、1993年にデジタル方式の携帯電話サービスが登場して、ここから 2G(第2世代移動通信システム)が始まった。電話機も小型化して、電子メールや携帯電話向けの Webサイトを利用できるようになってきた。
また、1995年に始まった PHS(パーソナル・ハンディホン)も 2G に含まれる。1999年には、NTTドコモが iモードを開始。携帯電話が通話の道具からデータ通信の道具へと変わってきた。
そして 2001年、NTTドコモが世界に先駆けて IMT-2000 という規格に対応した新しい携帯電話サービス(FOMA=フォーマ)を開始。ここからが、3G(第3世代移動通信システム)になる。
1G と 2G は、国や地域によって通信規格が違っていた。そのため、1980年代の後半から、国際電気通信連合(ITU)という組織が「2000年には世界中で同じ規格で通信サービスが提供されるようにしよう」ということで準備を進めて来た。
そのための規格を IMT-2000 といって、CDMA(シーディーエムエイ)と呼ばれる技術が使われることになった。規格が統一されていると、いつも使っている携帯電話機を海外でも使うことができる。
しかし、実際には IMT-2000 の中に 5つの規格がある状態になってしまった。ただし、主要な規格は W-CDMA と CDMA2000 の 2種類で、日本では NTTドコモとソフトバンクが W-CDMA を、au が CDMA2000 を採用した。
3G の特徴は、データ通信が実用的な速度になったこと。2G では数kbps だったのが、3G は最大384kbps から始まり、後に最大2Mbps 程度まで伸びた。
現在では、けして速くはないものの、当時としては大幅なスピードアップだった。その結果、画像や音楽の送受信、Webサイトの表示などに十分対応できるようになった。
携帯電話に限らず、技術は坂を上るように連続的に発展していくのではなく、階段のように上がるときは一段上がり、しばらく同じ状態が続く。そして、同じ技術が使われているそれぞれの時期を世代という。
携帯電話の場合、おおむね 10年ごとに世代が進んできた。それぞれ個別に解説しているので、下記のリンクから参照してほしい。
3G の次は 4G(第4世代)になるはずだけど、4G が始まったのは 2010年代の半ばだった。その前に、4G の技術を一部先取りしたサービスが登場している。
そうした技術に対応しているもの、まだ 4G とはいえないサービスは 3.5G(第3.5世代)とか 3.9G(第3.9世代)といわれた。
1G [いちジー] (第1世代移動通信システム)
2G [にジー] (第2世代移動通信システム)
2.5G [にぃてんごジー] (第2.5世代移動通信システム)
3G [さんジー] (第3世代移動通信システム)
3.5G [さんてんごジー] (第3.5世代移動通信システム)
3.9G [さんてんきゅうジー] (第3.9世代移動通信システム)
4G [よんジー] (第4世代移動通信システム)
5G [ごジー] (第5世代移動通信システム)
6G [ろくジー] (第6世代移動通信システム)
なお、この解説を書いたのは 2020年4月で、その前月(3月)に 5G(第5世代移動通信システム)が始まった。しかし、その時点で 5G の通信サービスを利用できるのは、わずかなエリアだけで、ほとんどの人がまだ 4G を使用している。
さらに、郊外へ行くと 4G の電波もつながらず、3G の通信サービスしか利用できないことがある。
3G のサービスが最終的に終了するのは 2026年の予定で、それまでは 3G、4G、5G が共存する見込み。このように携帯電話のサービスは、複数の世代が重複しながら発展している。
初稿公開:2004年11月
最終更新:2020年5月
執筆:下島 朗