誰でも参加できて、森のエッセンスを楽しめる気持ちいいイベント
「森と踊る木こりフェス」は、東京西部の八王子市を拠点に森の管理を行っている森と踊る株式会社が毎年開催しているイベントです。
森や自然に関心があっても、普段は森に入る機会が少ない人に、さまざまな森の要素を気軽に体験してもらえる恒例行事となっています。
2021年4月25日(日)、今年も無事に「森と踊る木こりフェス」が開催されました。昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響で秋の開催でしたが、今年は例年どおり春に実施されました。
まだコロナ禍は続いていますが、会場が広く、すべて屋外、そして参加者数も例年より少なめという状況を踏まえたうえでの開催でした。
恒例の、森と踊る株式会社・三木一弥社長(以下、ずーやん)の開会宣言。
その後、メイン会場の「もののけ広場」で各種ワークショップや売店がオープン。森のフェスがスタートしました。
天然酵母パンとオーガニックコーヒーの店「パン工房ふらんす」。今年は、動物由来の材料を使わないお弁当も用意されました。すべて数量限定で、お弁当は予約制でした。神奈川県大和市にある店舗は、森と踊るの木材を使って建てられています。その様子は、こちらで。
おなじみ、さんちゃん(参田あゆみさん)のショップ「ココペリ」。木のエキスやハーブなど自然な材料で、生活用品などを手作りしています。森と踊るのスタッフも愛用者が多い人気商品です。
こちらも恒例の、森と踊るのショップ。ずーやん作成のボールペンのほか、木の質感を活かしたグッズが販売されました。
森と踊るが開設した「木感」コーナー。ホームセンターなどで見る木材は乾燥していますが、切りたての幹や枝は水分が多くてしっとりしています。そんな生の木の質感を体験しました。
森にある枝と廃棄される花を組み合わせてステキな飾りにする「森の恵み×ロスフラワー」。リース作りなどを体験しました。
ソウルサウンドライヤーと呼ばれる竪琴で癒しを体験するコーナー。人の体が共鳴箱となって音の波動や響きを体感します。
森と踊るの定例イベントのひとつ「食べ森クラブ」の一角。いつも、何となく人が集まってくる楽しいスペース。
このほか、特に何もしないで、ただ森の中でボーっと過ごすのもOK。それぞれ自分のペースで森や木に親しむことができます。
お昼の癒しタイム、今年はYUKIEさんのクリスタルボウル
木こりフェスでは、ランチタイムに森のデッキで音楽に癒されるのが恒例となっています。今年は定番のクリスタルボウル、奏者はYUKIEさんでした。
クリスタルボウルの音色は、本当に森の空気に馴染み、深い癒しを与えてくれます。横になると眠ってしまい、短時間で心身がスッキリします。次回は、その心地よさをご自身で経験してみてください。
YUKIEさん演奏によるクリスタルボウルの音色はこちらで聞けます。
ガイドウォークに参加して、本当の「良い森」を知る
今回は、午前と午後、それぞれ異なるガイドウォークに参加しました。午前中は「木こりずーやんの森話」、午後はネイチャーガイド坂田まさこさんの「ネイチャーガイドウォーク」です。
森と踊る株式会社は、山の所有者から委託を受けて森の管理を行っています。成長したスギやヒノキを切り出して、木材にして出荷するという点では林業ですが、普通の林業とは異なるところが多々あります。
単に産業として材木を作るというより、森をより良い状態に整えていく、そうした意識や活動が中心にあります。もともとエンジニアだったずーやんが、いかにして森の管理を行い、森や自然に対する意識が変化してきたか、それが分かる森話は何度聞いても新しい学びがあります。
私たちは、植物がたくさん生えていれば「自然が豊か」と思いがちです。しかし、木が多くても不健全な森がたくさんあります。ずーやんは今、気持ちいい森を支える健全な土中環境を整えることに高い関心をもっていて、そのための整備を行っています。
いかに自然のバランスを保って気持ちいい森にしていくか、そのために何をするか、そうしたことを考えながら手間をかけて真摯に活動している人の話は説得力があります。そういった話を、実際に森を歩きながら本人から直接聞くことができる、とても有意義なガイドウォークです。
坂田さんのネイチャーガイドウォークも、とても人気があって毎回必ず実施されています。森を歩きながら、そこに生えている草木を題材に面白い話が続きます。圧倒的な知識に裏打ちされた解説は、とても興味深いものです。
さらに坂田さんは、そこに生えている植物を見るだけで、その森が今、どういう状態なのか、今後どうなっていくのか見通して多くの学びを提供してくれます。そうした中で語られる意外な真実が、また面白い。
たとえば、見た目は可憐なスミレが、実は非常にしたたかに子孫を残すための活動を行っているそうです。また、観光地で人気の芝桜は、その強さゆえに周囲の植物に悪影響を与えているというのも驚きでした。
ずーやんの森話も、坂田さんのガイドウォークも、目から落ちたウロコで森の中がいっぱいになるような話が次々と飛び出します。ぜひ、ご自身で参加して、本当に健全な森とはどういうものか学んでみてください。
◆
「森と踊る木こりフェス」は、ワークショップに参加して楽しい経験をするのもいいですし、ただ森の雰囲気に浸ってのんびりするだけでも構いません。同時に、本当に豊かな良い森とは何か、そういったことを学べる機会でもあります。
これまでは、年に1回の開催でしたが、今年から春秋2回の開催が予定されています。森に親しみ、森の知識を深める機会として、八王子の森に足を運んでみてはいかがでしょうか。
過去の「木こりフェス」の様子は、以下のリンクから参照できます。
森と踊る木こりフェス2020
森と踊る木こりフェス2019
森と踊る木こりフェス2018@高尾
森と踊る木こりフェス2017@高尾 vol.1
森と踊る株式会社は、他にもさまざまなイベントや活動を行っています。現在はコロナ禍の影響で制限されていますが、森と踊るのサイトで確認してみてください。
■森と踊る株式会社のサイト(ホームページ)
森と踊るのサイトにも、フジフジ(藤嶋裕太)さんによる『森と踊る木こりフェス2021春』のレポートがあります。
「高尾フモト同盟」のサイトには、『森と踊る木こりフェス2021春』の様子に加えて、ずーやんが森の仕事を始めたきっかけや、現在の活動のベースにある思いなどを語ったインタビュー記事があります。
■イベント名:森と踊る木こりフェス2021 春
■開催日:2021年4月25日(日)
■場所:東京都八王子市上恩方町の森
■主催:森と踊る株式会社
■『事例s』の問合せフォーム
取材日:2021年4月25日 取材・執筆:下島 朗