2017年4月29日、ゴールデンウィーク初日の土曜日に、東京都八王子市内の森で「森と踊る木こりフェス@高尾 vol.1」が開催されました。
このイベントは、一般の参加者がスギやヒノキの森(人工林)に入って皮むき間伐*を体験するものです。今回は、親子連れからシニアまで約100人が集まりました。
受付のあと、森のなかに新設されたステージに集まって、森と踊る株式会社の三木一弥社長(通称:ずーやん)からオリエンテーション。森に関する興味深い話を聞きました。
その後、10人ほどのグループに別れて、それぞれの担当エリアへ移動。途中から、登山道のない急斜面を登ります。
奥の方には緑も見えますが、この辺りは下草がなく地面がむき出しです。また、切り株がないので一度も間伐されてないことがわかります。
みんなで剥き上げる爽快感に大人も歓喜
皮むき間伐では、小型の鎌で最初に一本だけ縦に切り込みを入れます。その後は、竹のヘラで根本の皮をスカート状に剥いでいきます。
全周剥いだら、みんなで声を合わせて皮を引っ張り、一気に剥ぎ取ります。長いときは、10メートルくらい上まで剥けることもあります。
皮を剥かれた木の幹は、しっとり濡れています。剥いた皮の内側も同じで、良い香りがするだけでなく、舐めると少し甘みがあります。
皮を剥かれた木は、水を吸い上げることができなくなって、ゆっくり乾燥して枯れていきます。そして、立ち枯れした木を1年から1年半くらいで切って木材にします。いわゆる生木は水分を大量に含んでいるため重いのですが、皮むき間伐した木は水分が少なく軽いため搬出が楽とのこと。
森好き仲間との出会いも魅力
皮むき体験を楽しんだあと、ステージ前に戻って昼食。午後は、プロのアーチストによる打楽器のパフォーマンスとクリスタルボウルの演奏がありました。打楽器のパフォーマンスは子ども達も参加して賑やかで楽しい時間に、クリスタルボウルの演奏は一転して静かな癒しの時間となりました。
皮むき体験の終了時と午後の演奏の合間に、参加者が6人ずつ手を繋いで一本の木を囲む体験をしました。樹齢500年のスギの木は、大人6人が両手を繋いで輪を作ったくらいの直径になるそうです。
皮を剥かずに残した木の中には、長い命をもって巨木になるものもあるでしょう。500年後の社会がどうなっているか、私たちには分かりません。しかし、幹の太さを想像することで、目の前にある木の将来の姿を思い描くことができます。未来の森に思いを馳せる瞬間でした。
森と踊る木こりフェスには、皮むき間伐を通して林業の一部を体験できる、森で一日を過ごす楽しさや癒し、誰でも気軽に参加できる、といった良さがあります。さらに、森や木に関心がある人たち、そういった仲間との出会いも魅力です。しかも、すぐに打ち解けることができます。これも、森が持つ力かもしれません。
皮むき間伐は、木が水をたくさん吸い上げる4月末から9月に行われます。今年も、皮むき間伐のシーズンが始まりました。
*間伐(かんばつ):林業で木を育てる過程で密集しすぎた木を間引くこと。木の数を減らして空間をつくることで木が太く育ち、よい木材を生産できます。通常はチェーンソー等で切り倒しますが、森と踊る株式会社では樹皮を剥がす「皮むき間伐」という方法を取り入れています。
■イベント名:森と踊る木こりフェス2017@高尾 vol.1
■開催日:2017年4月29日(土)
■場所:東京都八王子市恩方町の森
■主催:森と踊る株式会社
※「森と踊る木こりフェス2017@高尾 vol.2」は終了しましたが、森と踊る株式会社のホームページでイベント報告や他のイベントの情報をご覧いただけます。
■「森と踊る 500年後の森とつながる選木体験会 vol.1」の記事
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取材日:2017年4月29日 取材・執筆:下島 朗