消費電力が大きく使い勝手が悪かった従来照明。
国立グリーンヒルテニスクラブ様は、2016年秋に35周年を迎えた老舗クラブ。文教地区として人気の高いJR中央線・国立駅の北口エリアにあって、インドアコート2面とアウトドアコート2面でテニススクールとレンタルコートを運営しています。平日は朝7時30分から、土日は朝9時30分からレッスンが始まり、最後のレッスンが終わるのは夜9時30分。インドアコートを使用するため、昼間も照明を点ける時間がかなりあります。
従来、インドアコートの照明は、1灯1000Wのメタルハライドランプ(いわゆる水銀灯)を使用していました。コート2面で12灯、合計約12kWもの電気を使います。さらに、水銀灯は一度消すと再点灯に15分くらいかかるためレッスンの合間も消せないという問題も。こうした状況を改善するため、2014年春からインドアコートの照明LED化の準備を始めました。
SIIの助成金を活用し、省エネ事業に認定される。
LED化に当たって、経済産業省が所管し、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)が公募する「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」を申請。そのため、3社から見積りを取るなど準備に半年以上かけました。この制度は、数ある補助金の中でもハードルが高いことで知られ、クラブを運営する尾又社長も専門家のアドバイスを受けながら手続きを進めたそうです。認可後も、1年間に渡って効果を測定する必要があります。
尾又社長は「実際のところ、申請は大変でした。その手間だけ考えると補助金制度を利用したのが良かったかという思いはあります。しかし、LED照明の導入効果は非常に高く、消費電力を大幅に削減できて満足しています」と言います。
器具の数を増やして位置を上げたため、建屋内全体の明るさが増してコートの明暗差が減りました。また、従来はコート1面ずつの点灯でしたが、コート1面につき4回路に分けて点灯できるように変更。もちろんLEDなので、いつでも点滅できます。その結果、天候や時間に合わせて細かな運用が可能になりました。1日当たりの点灯時間は年間平均で約7時間、以前より少し増えたそうですが、電気代は大幅に減っています。
設置後1年間の効果測定も楽々クリア。測定のために子メーターを設置して記録を取りましたが、この作業を通じて担当スタッフの節電意識が高まったそうです。さらに従来は、自社でメタルハライドランプの交換を行っていましたが、寿命の長いLED照明に替えたことで、その手間もなくなりました。
さらなる省エネを推進中、業界の盛り上がりに期待。
国立グリーンヒルテニスクラブ様は、もともと省エネ意識の高い事業所です。2016年春には、電力小売自由化を受けて電気の購入先を変更。書類手続きだけで約2割の電気代を削減しています。また、クラブハウス内の照明も順次、LEDに交換中で、駐車場の照明も年内にはLED化する予定です。
尾又社長は、「30年以上、テニスクラブを運営してきましたが、電気代はピーク時の3分の1以下になっています。しかし、テニスクラブも減少しています。再びテニス人気が高まって、同業者と共存しながらテニス業界全体が盛り上がるといいですね」と語ります。
●導入器具:三菱化工機製ライティアTシリーズ KTH-T800高輝度仕様
●消費電力:229W/1台
●設置台数:コート1面につき12灯、計24灯
●削減電力(全灯時概算):1050W×12灯-229W×24灯=7104W
●施工時期:2014年11月
●設置高:約8メートル
●施工方法:コート面を養生のうえ、ローリングタワーを使用
●この施設の見学:可
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取材時期:2016年8月 取材・執筆:下島 朗