ドキュメントフォルダー内のデータが消えた!?
といったわけで、Windows10に標準装備のOneDriveに自動保存されたデータを削除しました。ところが、ここでまた予想外の出来事が発生しました。
ドキュメントフォルダーのデータがOneDriveに「コピー」されたと思っていたのですが、実際には「移動」していたのです。つまり、ドキュメントフォルダーの中にデータがあるように見えるのですが、実際には目の前のパソコンから削除されていて、データがあるのはインターネット上にあるOneDriveの中だけでした。そのため、OneDrive内のデータを削除したら、ドキュメントフォルダーの中も空になりました。
このあたり、実は一度、雑誌の記事に書いたことがあったのですが、どういったケースだとパソコン内にデータが残り、どういったケースだとOneDriveにデータが移動するか理解しにくく、なかなか面倒なのです。しかも、同じWindows10でも対応が違ったりするので慣れが必要です。
いずれにしても、OneDriveからもパソコンからも極めて重要なデータが消えました。消えたというか、自分が間違って消してしまいました。
とはいえ今回は、外付けハードディスクにバックアップデータが残っているので、少し落ち着いてから、またパソコン内(ドキュメントフォルダー)にデータを移せば問題ありません。しかし、こうした準備をしていないと、いつどのタイミングで大事なデータを失うが分かりません。怖いですね。
次のトラブルは、ドキュメントのバックアップと並んで重要な、メールの引継ぎで発生しました。前述のようにOffice 365の契約があるので、Outlook 365をダウンロードして過去データをインポートする作業を行いました。
結論としては、一部のデータは入るものの、うまくインポートできないデータがありました。また、フォルダー構成が崩れるケースもありました。さらに、前述のOneDriveのデータ削除と関係するのか、一度はインポートできたデータが突然消えたりしました。
このほか、Windows7で使ってきた一部のアプリにも不具合が発生しました。ファイルを開くことができても、編集作業ができない、保存ができない、といった現象が出たのです。これは、そのアプリ自体がすでにWindows10に非対応となっていたのが原因ですが、心のどこかに「やってみれば意外にすんなり動くのではないか」という気持ちがありました。
というのも、前にも少し書きましたが、現在のWindowsには「互換モード」と呼ばれる機能が用意されています。これは、最新のWindowsに対応しない古いアプリを動かす機能で、いわばWindows10の中にWindows7やWindows8.1が入っているイメージ。
必要に迫られてWindows10にしたものの「どうしても古いアプリを使う必要がある。しかし不具合が出る」といった場合は、この機能を試してください。利用方法は、「Windows 互換モード」でネット検索すれば見つかります。
バージョンアップを諦めてパソコン購入を決断。
さて、以上の作業を仕事の合間に少しずつ進めて来たのですが、この時点で7月下旬になっていました。
この記事の前半でも書きましたが、昔と違って今は、パソコンの進化もだいぶ落ち着いてきています。また、Windowsも互換モードによって過去のアプリとの互換性が考慮されているため、意外に7年前のパソコンでもWindows10を問題なく使えるのではないかという淡い期待がありました。
しかし、このようにトラブルが続出すると、そんな期待は吹き飛びました。とにかく、このパソコンは安定稼働が必須です。原稿を書くために使うのですから、実際にお金を稼ぐ道具です。運送会社でいえばトラックに相当します。いつ故障するか分からないトラックで荷物を運ぶわけにはいきません。
すぐに腹を決めて、新しいパソコンを購入することにしました。こうした事態を想定して、7月に着手して9月末までに費用の支払いを完了させるスケジュールで動いたわけですし。
新しいパソコンは、ドスパラのMagnate IM。内部の仕様を少しだけ変更して注文しました。何度も書いているように安定稼働が第一の大事なパソコンですが、スペックはそんなに高くする必要ありません。むしろ、実験用パソコン(現在は画像・映像編集パソコン)の方が高性能を必要とします。
2019年7月26日(金)に注文したところ、週明けの29日(月)には到着しました。素晴らしい! ところが8月に入ると、1日から12日まで連日、外出が続いてせっかく届いた新パソコンの電源を入れることができませんでした。やっと作業を再開できたのは、8月も中旬になってからでした。
約2週間のメール機能停止期間を乗り切った裏ワザ。
さてさて、世間はお盆休みですが、何はともあれメール環境を整えなければなりません。最後にメールサーバーにアクセスしてから約2週間が経過しています。その間に着信したメールが、すべてサーバーに残っています。
とはいえ、この2週間のあいだにも、すぐに対応が必要なメールが届いているし、こちらから連絡が必要な案件もあります。仕事が継続している以上、メール連絡が止まることはありません。
こうした状況に対応するために準備していた、というわけではありませんが、この窮状を救ってくれたのがGmailでした。グーグルが提供しているWebメールサービスです。私は、グーグルにかなり個人情報を渡しています。つまり、日ごろからグーグルの各種サービスをよく利用しています。
前述のように私は、複数のメールアドレスを並行して使っています。主なアドレスは、いわゆるプロバイダー(ISP)から提供を受けているものですが、一部は自社で契約しているレンタルサーバーに設定しているものです。
そして、すべてのアドレスに「メールサーバーに新しいメールが届いたらGmailに転送する。その際、メールサーバーにメールを残す」という設定をしています。さらに、Gmailに転送されたメールをスマホで読めるようにしています。
そのため、パソコンかスマホでGmailの画面を開けばメールの読み書きが可能です。パソコンで開くときも、ブラウザーでGoogle検索のページを開き、Gmailのページへ移動すればいいので、メールソフトの設定は必要ありません。
こうして約2週間、対応が必要な案件にはGmailから返信しました。一時は、「どうせなら、今後すべてGmailに切り替えようか」とも考えました。実は、Gmailの機能も進んでいて、他のメールアドレスに届いたメールを読み込んだり、そのアドレスで返信したりできる機能が用意されているのです。
しかし、私の場合、複数のアドレスに届いた重要度がバラバラなメールがすべて同じGmailアドレスに流れ込んできます。かなりの量があります。そのため、わずか数日前のメールでも何ページも表示画面を遡ったり、検索して見つけないといけないという不便な状況に陥りました。
というわけで、結局、それから数日かけてOutlook365の設定をして、まずはメールの送受信が可能な状態にしました。その結果、2週間分以上のメールが新たなOutlookに一気に流れ込んできました。
次に、エクスポートしてあった過去メールをインポートします。やはり、フォルダー構造などを完全に復元できませんでしたが、おおむね使える状態にすることができました。
今のOutlookは、自分で迷惑メールの処理レベルを指定する。
問題は、さらに続きます。次に困ったのが大量の迷惑メールです。移行前に使っていたOutlookでは、長年に渡って受信拒否リストを育てていたので、かなりの量の迷惑メールが自動的に迷惑メールフォルダーに振り分けられるようになっていました。
ところが、新しいOutlookには、そうした情報が引き継がれていないので、あらゆる迷惑メールが受信トレイに入ってきます。アドレスによっては、受信メールの8割以上が迷惑メールでした。それらを、ひとつひとつ手動で受信拒否リストに入れていったのですが埒があきません。なぜか、迷惑メールが減らないのです。
そこで、ネットで検索して調べたところ、現在のOutlookでは「迷惑メールのオプション」で処理レベルを選べるようになっていました。しかも、1本のOutlookに複数のアドレスを登録している場合、アドレスごとにレベルを選べます。逆にいうと、アドレスごとに処理レベルの設定が必要です。
初期設定は「自動処理なし」なので、すべてのメールが受信トレイに入ります。これを「高」にしたところ、かなりの数の迷惑メールが自動的に迷惑メールフォルダーに入るようになりました。しかし、知り合いからのメールや、迷惑ではないメルマガが迷惑メールフォルダーに入ることもあるので、一部のアドレスは処理レベルを「低」に変更しました。
OneDriveとOneDrive for Businessの違いに困惑。
こうした設定がおおむね落ち着いてきたのは、なんと8月後半。Windows7からWindows10への移行作業を始めて、すでに2ヶ月近く経ってしまいました。
もちろん、ほかの業務を一切停止して一気に作業を進めれば、こんなに時間がかかることはなかったでしょう。しかし、ほかの仕事と同時進行、いやむしろ他の仕事の合間に少しずつ作業を続けてきた結果、こんなに時間がかかってしまいました。
残る作業は、OneDriveの設定です。これまで、個人向けの複数のオンラインストレージサービスをルールを明確にしないまま使っていたので、この機会にOneDrive for Businessに集約してバックアップ体系を整えようと考えていました。
ところが、ここでも躓きがありました。Windows10に標準装備されている個人向けOneDriveと、Office 365 Businessに付属している企業向けOneDriveが、細かな点で機能が違うのです。
たとえば、個人向けOneDriveだと、デスクトップ、ドキュメント、ピクチャー、ダウンロードの各フォルダーに入ったファイルが自動的にOneDriveに送信されるよう初期設定されています。しかも、送信されたファイルはパソコン内から削除されます。
一方、OneDrive for Businessだと、自動送信されるのは指定したフォルダーのみ。あるいは、自分でコピーや移動の操作をした場合だけ。実際には、もっと根源的に、背後でデータ管理している方法が違っていたり、Business版だと管理者がユーザーごとの権限を設定できたり、いろいろ異なる点があります。
つまり、個人向けのOneDriveとOneDrive for Businessは別の機能と考えるほうがいいでしょう。実際、それぞれ別々に並行して使うことができます。ところが、両方を使うためのアカウントの追加は、片方のサービスの設定画面からできたりします。なかなか、ややこしいです。
この原稿を書いているのは、すでに9月中旬に近い時期ですが、まだ完全にはデータを整理できていません。OneDrive for Businessにデジカメ写真をアップロードしたら、どうも待ち時間(パソコンが操作を受け付けない時間)が増えたような気がします。もう少し使い込んで、自分にとって最適な利用法を探りたいと思っています。