データバックアップのために、お金と時間を無駄遣い。
実は、今回のWindowsバージョンアップに向けて、新たに外付けハードディスクを1台購入しました。というのも、数年前から通常のハードディスクではなくRAID(レイド)対応の外付けハードディスクをバックアップ用に使っていたのですが、これがWindows10に対応していなかったのです。
RAIDというのは、データを1回コピーするだけで2重に保存できる安全性の高い仕組みです。具体的には、たとえば1台の外付けハードディスク装置の中に1TBのハードディスクが2つ入っています。そして、この装置にデータを保存すると、2つのハードディスクにまったく同じ内容が同時に記録されます。
そのため、2つのハードディスクのうち1つが故障して読み書き不能になっても、もう1つは無事なので、そこからデータを読み出すことができるわけです。こうしたRAID機能は、市販の外付けハードディスクではあまり多くないですが、企業で使うサーバーやストレージでは広く使われています。
実際には2TB分のハードディスク(1TB×2つ)がありながら1TB分のデータしか保存できないので無駄といえば無駄なのですが、ハードディスクが故障してデータを失うリスクをカバーしてくれる保険のようなものです。
なお、上記の例が最も代表的なRAIDの使い方なのですが、ほかにも2つのハードディスクを実質的に1台のようにして使ったり、データの記憶方式を工夫して1TB分以上のデータを安全に保存できる技術もあります。また、一例として1TBのハードディスクで説明しましたが、2TB×2つなどさまざまな組み合わせが可能です。
さて、私が大事なデータのバックアップ用としてRAID対応の外付けハードディスクを買ったのはWindows10がリリースされる少し前でした。当然、Windows10になっても使えるものと思っていました。ところが、使えなかったのです。Windows10がインストールされたパソコンにつないでも認識されません。
こうした場合、通常はドライバーソフトをアップデートすれば認識されることが多いものです。ところが、メーカーのサイトで調べても、Windows10は非対応となっていて後継機種が紹介されているだけでした。つまり、「この機種はWindows10に対応できないので、新しい機種を買ってください」ということです。かなり残念な気持ちになりました。おそらく、一部の機能がWindows10に対応できなかったのでしょう。
しかし、どうしようもありません。そのためWindows7のパソコンにつないで使ってきましたが、Windows10にバージョンアップする際には別のハードディスクを用意しなければならいと覚悟していました。
で、新しい外付けハードディスク(今度は通常のハードディスク)を買ってデータをバックアップし直したのですが、バージョンアップが完了してから新たなWindows10パソコンに非対応だったRAIDのハードディスクを接続すると、なんと問題なく使えるようになっていました。保存していたデータも開きます。
メーカーのサイトでは今も非対応となっていますが、Windows10がアップデートされていく中で認識できるようになったのでしょう。結果的に、無駄な費用と、新しいハードディスクにデータを整理し直すための無駄な時間を使ってしまいました。
最大の難関はメールの引継ぎだった、その前哨戦。
次に手掛けたのが、メールソフトの統一でした。私はこれまで、仕事の内容に応じて複数のメールアドレスを使ってきました。そして、メールソフトも、Outlook2010とWindowsLiveメールの2本を使っていました。
ところが、まったく迂闊だったのですが、WindowsLiveメールは既に2年も前にサポートが終了していました。しかもメインの仕事に関するメールを、このソフトで送受信していたのです。まずは、これを何とかしなくてはいけません。
そこで、WindowsLiveメールに保存されている過去のメールをOutlook2010に移す作業から始めました。こうした作業は、ネットで検索すると方法が見つかります。実際には、情報が最新ではないケースが多いのですが、その辺は現時点で何が正しいのか見極めながら作業を進めます。
結論としては、WindowsLiveメールの中の膨大な過去メールをOutlook2010へ移行することはできました。しかし、フォルダー構造が乱れたりして完ぺきではありませんでした。とはいえ、この段階で手をこまねいていると先に進めないので、この状態でOutlook2010の全データをエクスポートしました。
エクスポートとは、メールソフトの中にある、これまでに送受信したメールや連絡先アドレスなどをファイル(ひとつのデータ)として書き出すことです。通常は、メールのバックアップのために定期的にエクスポートを行います。そしても、もしものときは、エクスポートしたデータを読み込めば(インポートすれば)復活できるというわけです。
また今回のように、メールソフトやパソコン自体を乗り換えるときも、同じように新しいソフトやパソコンに読み込むことができます。
試すこと3回、すべてのアプリとデータが消えた!
以上の準備を行ったところで、外付けハードディスクなど不要な機器を外して、まずはそのままWindows10へのバージョンアップを試みました。
方法としては、マイクロソフトがサイト上で公開している無料のセットアップツールを利用して、とにかく一度、Windows10へのバージョンアップを試しました。具体的には、以下のページを開いて「ツールを今すぐダウンロード」のボタンを押します。
Windows10のダウンロード
https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10
OSのバージョンアップなので、それなりに時間がかかります。しかし、これですんなりWindows10のインストールが完了し、安定して稼働すれば、これまで使ってきたパソコンを今後も使い続けることができます。最も手間と出費が少ない方法です。
ただし、このパソコンではWindows10のライセンスを取得していないので認証ができないでしょう。そこで、安定稼働を確認できたらマイクロソフトのサイトでライセンスを購入しようと考えていました。ちなみに、インストールが完了したものの動作が不安定だったり、一部の機能が使えないといった場合、10日間はWindows7に戻すことができる、はずでした。
ところが、「個人ファイルとアプリを引き継ぐ」という設定でインストールしようとすると、途中でインストールが止まってしまい、従来どおりWindows7が起動します。そして、Windows10へのバージョンアップが失敗した旨のメッセージが表示されました。
そのため段階的に、インストールの障害になりそうな内部パーツを外し、障害になりそうなアプリを削除して、再びトライすること2回。しかし、Windows10のインストールは成功しませんでした。
そこで、個人ファイルやアプリを引き継ぐのをやめて、Windows10をクリーンインストールする設定を選びました。このときはまだ、データが消えてもWindows7に戻せると考えていました。結果は、無事にWindows10へのバージョンアップが完了。まっさらな画面が出てきました。
ところが、ここで大問題です。この状態からWindows7に戻すことができません。
考えられるのは、ファイルやアプリを引き継いだ場合は戻せるけど、クリーンインストールの場合は戻せない。あるいは、すでに復元可能な10日間が経過していた可能性です。
Windows10がリリースされてから1年間は、Windows7(SP1)や8.1がインストールされているパソコンは無償でWindows10にバージョンアップすることができました。当初は、利用者が任意でバージョンアップを選べる感じだったのですが、期限が迫ってくるとマイクロソフトはかなり強硬にバージョンアップさせようとして半ば自動的に更新するようなことをしました。
このやり方には批判の声が上がり、ユーザーが気づかないままバージョンアップするような方式は短期間で撤回されたのですが、この間に今回のパソコンも更新データを受け取っていて、そのときに10日間の復元可能期間を消化してしまったのかもしれません。
というのもなぜか、Windows10のライセンス認証を要求されることなく使用可能な状況になったのです。つまり私は、アプリとデータは失いましたが、1円も払うことなくWindows7からWindows10にバージョンアップできたということです。
アッという間にOneDriveが不足という惨事。
理由はわかりませんが、いずれにしてもWindows7に戻せない以上、新しい環境を受け入れて整えていくしかありません。そこで、まず外付けハードディスクをつないでバックアップデータをドキュメントフォルダーにコピーしました。
ところが、ここでまた予想外の事態が発生。現在のWindows10は、デスクトップ、ドキュメント、ピクチャー、ダウンロードの各フォルダーに保存されたファイルが、自動的にOneDriveにアップロードされる設定になっていました。
OneDriveは、マイクロソフトが提供しているクラウドサービスのひとつで、パソコン内のデータがマイクロソフトが用意しているストレージ(記憶装置)にインターネットを通じて自動的に保存されます。うまく使えば、自分でデータをバックアップしなくても常に自動的にバックアップされるので安全性が高いし、別のパソコンやスマホなどからデータにアクセスできるので非常に便利です。
ただし、Windows10に用意されている容量は5GBだけ。過去のデータやデジカメ写真をアップロードすれば、すぐに上限に達します。とても足りません。そこでマイクロソフトは、有料で容量を増やすサービスを用意しています。というか、Windows10のユーザーに試しで5GBだけ使ってもらい、不足したら有料サービスの契約をしてもらうことが狙いなのでしょう。
私が持っているデータも、ドキュメントフォルダーの分だけで約18GBあって、あっという間に容量オーバーになりました。この状態だと、OneDriveに保存されているデータも中途半端だし、画面には頻繁に「容量が不足しています」といった表示が出て有料サービスへの移行を促されます。
ちなみに、もう1台の実験用パソコンにもWindows10が入っていますが、このパソコンを使い始めたころはこうした設定にはなっていませんでした。また、これまでは実験的にしかOneDriveを使ってなかったため、ドキュメントフォルダーのデータがいきなりOneDriveに送られたことに少々驚きました。
このあたり、今も現役バリバリのパソコンライターなら知っていて当然のことだったと思います。しかし、最新の状況に疎くなっていました。恥ずかしい限りです。
さて、ほかにクラウドサービスの契約がないなら、このまま有料サービス(容量50GBで月々249円)へ移行してもよかったのですが、別途、仕事用にOffice 365 Businessの契約があって、こちらにもOneDrive for Businessが1TB分ついています。そのため、こっちを使いたいと考えていました。あるいは、それまで主に使ってきたGoogleドライブなら、月々250円で100GBを使えます。Googleドライブには、ほかにも豊富なコースが用意されています。