Windows10なら、半永久的にサポートされる。
なお、Windows10は2015年8月に発売されましたが、それ以降、新しいWindowsが出ることはありません。一度、Windows10を購入すれば(最初からパソコンにインストールされていた場合を含めて)、Windows10という名称のまま無期限でサポートを受けることができます。
実際には、約半年に一度のペースで大規模なアップデートがあり、その間に必要に応じて小さなアップデートが繰り返されています。そして、大規模アップデートごとにサポート期限が設けられているのですが、Windows Updateによるアップデートを続けていればサポートが終了することはありません。
そのため、Windows10は「最後のWindows」と呼ばれています。これは、Windows10を使っていれば、今後は新しいWindowsに買い替える必要がないということです。ただし、最初からパソコンに組み込まれていたWindows10は、そのパソコンでのみ使用可能なので、新しいパソコンに買い替えるときはWindows10が入った状態で買う必要があります。
パソコンは、仕事を続けるためのライフライン。
さて、以上のような状況から、いずれにしても私は、普段使いのWindows7パソコンをWindows10にバージョンアップする必要性に迫られていました。
ちなみに現在、私が日常的に使っているパソコンは2台です。どちらも、ミドルタワーのデスクトップ型です。もちろん、ほかにもノートパソコンやiPadなど複数の機器がありますが、これらを使う機会は多くありません。スマホは、iPhoneもアンドロイドも日々使っていますが、パソコンとは別モノなので今回は触れずにおきます。
これからパソコン関連のライターを目指す人は、まずいないと思いますが、パソコン系のライターとして仕事をしていくには最低でも2台のパソコンが必要でした。まず、原稿を書いたりメールの送受信に使うパソコン。それと、いろいろな危険な作業に使うパソコンです。
今は、出版やWeb制作の業界はどこもそうだと思いますが、仕事の依頼のために電話で連絡してくる人はまずいません。新規の取引先でも、いきなりメールで連絡がきます。書き出しは、「〇〇出版の□□さんからの紹介で…」とか「◇◇で記事を拝見して…」といった感じです。原稿を書くための資料を受け取ることもありますが、これもFAXや郵便ということはありません。メールに添付するか、ファイル転送サービスを使います。
私がライターの仕事を始めた30年近く前も、パソコン雑誌の分野はすでにこんな感じでした。当時はまだ、大きなファイルの受け渡しはできませんでしたが、原稿の受け渡しはパソコン通信サービスの電子メールが使っていました。
ほかの業界では今も「きっかけは、一本の電話で…」といった話があるのかもしれません。一方、出版やコンテンツ制作の分野では一本のメールがきっかけで何年も取り引きが続くということがよくあります。何年も仕事でやり取りをしているのに、一度も会ったことがないという人もいます。
そのため、電子メールは仕事の生命線。メールの送受信ができなくなると死活問題です。しかも、量が多かったり、本文が長かったり、添付ファイルが付いていたりするので、スマホでの対応は不可能ではないものの困難。やはり、パソコンの中に送受信したメールを保存しておきたい。
そして、原稿を書くためのパソコンも最重要のツールです。「パソコンの調子が悪くて原稿を書けない」「途中まで書いた原稿が消えてしまった」「書いたけど送ることができない」といった話は通用しません。もしも、こういった理由で締め切りに遅れたら、たぶん次の仕事はないでしょう。
そのため、メールを送受信したり原稿を書いたりするパソコンは安定稼働が最も重要です。そのためには、とにかく余計なアプリ(ソフト)を入れないこと。そして、安定して動いているならむやみに設定を変更しないこと。また、そのパソコンでは危ないWebサイトを開かないといったことが大切です。
危険な役割を担う実験用パソコンを別に用意。
一方、パソコン系のライターを続けていると、どうしても危ない仕事が出てきます。たとえば、いろいろなパーツの検証。今はノートパソコンが主流なので少なくなりましたが、以前はデスクトップ型のパソコンにいろいろな追加パーツを組み入れて性能を向上させるといったことが一般的に行われていました。
ところが、パーツを入れ替えたり追加したりすると、突然、パソコンの調子が悪くなることがあります。こういった現象を「相性が悪い」などと言っていました。
ソフトウェア(アプリ)でも同じような現象が発生します。具体的には、後から入れたアプリがレジストリと呼ばれる大事な情報を自分に都合がいいように書き換えてしまい、それ以前にインストールされていたアプリが起動しないといったことが起こります。
さらに、インターネットの普及拡大に伴って、サイトにアクセスするだけで危険なプログラムを送り込まれるような事例も出てきました。
特に私は、ネット上で配布されているフリーソフト(無料アプリ)の紹介記事を書くことが多かったので、ソフトウェアやインターネットを通じたリスクには気を使っていました。無料のアプリをダウンロードしたら、その中にマルウェア(いわゆるコンピューターウイルスなど悪意のあるプログラム)が仕組まれている、といったリスクが常にあったわけです。
以上のような理由で突然、パソコンの調子が悪くなったからといって、メールの送受信ができない、原稿を書けない、送れない、ということは許されません。そのため、安定稼働が最優先の仕事用パソコンと、リスクにさらす実験用パソコンを分ける必要があるわけです。
もしも実験用パソコンに不具合が生じたら、不要なパーツを外してハードディスクを初期化、そしてWindowsを再インストールします。これによって中のデータはすべて消えますが、パソコンは真っさらの状態に戻ります。
安定稼働の仕事用パソコンはノート型でもいいですが、実験用パソコンはさまざまなパーツを組み込めるようにタワー型を使ってきました。パソコン雑誌の仕事がメインだったころは、自分でパーツを選んで自作パソコンを組んでいました。最盛期には、こうした自作パソコンが5~6台あって、新しいWindowsが出ると余った部品を集めて新しいパソコンを作ることもありました。しかし今は、面倒になってネット通販のBTO(Build to Order)を利用しています。
最近は、危ない仕事が減ったこともあり、通常稼働のパソコンは必要最低限の2台になっています。そして、実験用だったパソコンはデジカメ写真の保存や動画編集に使うことが多くなっています。
さて普段、会社のパソコンを使っている人は、いろいろ制限をかけられていることが多いと思います。これは、会社で使うパソコンは仕事の道具であり、安定稼働している必要があるからです。利用者が変なサイトを開いてウイルスに感染したり、重要なデータが流出したりすると大変なことになります。
いろいろなアプリやパーツを組み込んだり、危ないサイトを見たり、リスクのある使い方をするときは、必ず会社の外で個人のパソコンを使いましょう。さらに、そういったことをしたい人は、そういった用途のためのパソコンを別に用意しておく方がいいでしょう。
なぜ、半年前にパージョンアップ作業を始めたのか。
さて今回、Windows7からWindows10へのバージョンアップが必要だったのは、安定稼働のメール&原稿書きパソコンの方です。実験用パソコンは、2015年7月にWindows10がリリースされる直前にWindows8.1がインストールされた状態で購入し、すぐにWindows10へと無償バージョンアップしました。
一方、仕事用パソコンは、できるだけ変更を加えないで安定稼働を続けたいので、そのまま使い続けてきました(もちろん、SP1は適用していました)。また、市場でもWindows7の人気が高く、安定稼働バージョンとして企業などで広く使われてきました。そのため、Windows10との機能比較などのために、手元にWindows7を残しておきたいという理由もありました。
とはいえ、いよいよWindows7のサポート終了まで残り半年と期限が迫ってきました。いずれにしても、2020年1月14日までに使用を終了して、Windows10に移行しなければなりません。それでも約半年もの猶予をもって、この作業に着手したのは2つの理由があります。
まず、安全確実に移行するため、時間に余裕をもって作業を進めたかったこと。これまでパソコンの中に溜めてきたデータや原稿が消えたり、メールの送受信ができない状況になると、とても困ります。
もうひとつの理由は、弊社の決算が9月で、今期の予算で対応したかったためです。当初は、少なくともWindows10を購入する必要があると考えていました。場合によっては、パソコン自体を買い替える可能性があると思っていました。どちらの場合も、支払はクレジットカードを使います。カード決済のタイムラグを考えると、こうした購入は7月に済ませておきたいと考えたわけです。
そこで、7月に入るとすぐ、7月の予定に「Win7→Win10」という項目を書き込みました(私は、紙の手帳とGoogleカレンダーを併用しています)。
そして、Windowsバージョンアップの準備として2つの作業に着手しました。
外付けハードディスクからクラウドへ移行したい。
まずは、バックアップデータの整理です。私は基本的に、仕事の資料や自分が書いた原稿は、パソコン内部のハードディスクと外付けハードディスク(HDD)の両方に保存してきました。
30年近く前にライターの仕事を始めたころはフロッピーディスクを使っていましたが、ハードディスクが普及してからは、ずっとこの方法です。一時はDVD-Rなどを使ったこともありましたが、面倒なので止めました。
今では、クラウドサービスにバックアップするほうが安全なことは分かっているのですが、これまでクラウドの利用は限定的で、メインは複数のハードディスクへ大事なデータをコピーして多重保存するという方法を続けてきました。
だたし、この方法にはリスクがあります。パソコンも外付けハードディスクも同じ場所にあるので、大地震や火災、水害などに遭うと両方とも失う可能性が大きい。一方、クラウドサービスなら地理的に離れた場所にデータが保存されるし、そのための建物やストレージ(記憶装置)も堅牢です。
そこで、できれば今回のWindows7からWindows10へのバージョンアップに合わせて、クラウドサービスによるバックアップへ移行したいと考えていました。
ちなみに、外付けハードディスクに大事なデータをバックアップする方法に救われたのは、約30年間で1回だけです。十数年前にメインの仕事用パソコンが予兆なく突然、起動しなくなって中のデータを取り出せなくなりました。しかし当時は、前述のように何台もパソコンがあったので、バックアップデータが入った外付けハードディスクを別のパソコンにつなぎ替えて難を逃れました。
今回も、どんなトラブルが起こるかわからないので、残したいデータを整理して外付けハードディスクに保存していきました。実際には、もともとバックアップしてあるので改めて整理し直した感じでしたが。